◎ヨルダン川西岸と東エルサレムで生活するユダヤ人入植者は70万人を超え、その地域はイスラエル軍の保護下に置かれ、要塞化されている。
国連人権理事会(UNHRC)は7日、イスラエルはヨルダン川西岸を含む入植地の完全支配を望んでいると懸念を表明した。
昨年5月のガザ紛争を調査しているUNHRCの独立調査委員会は7日に公表した報告書の中で、「占領を終わらせるだけでは十分ではない」とし、イスラエルにパレスチナ人の人権と平等を確保する追加の取り組みを求めた。
また報告書は、イスラエルが入植地の完全支配を目指している証拠をまとめている。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、イスラム教の聖地アルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領した。それ以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。
同委員会はイスラエル政府が「パレスチナ人に対する抑圧的な環境と、ユダヤ人入植者に有利な環境を維持することによって、占領の既成事実化を強めている」と述べている。
また委員会は、イスラエル市民と結婚したパレスチナ人の帰化を否定する法律を引用し、「イスラエルはパレスチナ人に異なる市民的地位、権利、法的保護を与えている」と非難した。
ヨルダン川西岸と東エルサレムで生活するユダヤ人入植者は70万人を超え、その地域はイスラエル軍の保護下に置かれ、要塞化されている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルなどの主要な人権団体は、イスラエルのパレスチナ人に対する政策をアパルトヘイトと同一視している。
この報告書は、2021年5月に発生したガザ紛争をきっかけに作成された。この紛争ではガザ地区のパレスチナ市民260人以上、イスラエルでも13人が死亡している。
調査委員会は、イスラエル軍のガザ地区に対する猛攻撃が戦争犯罪や人権侵害に当たるかどうかを調査している。
ガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスは7日、報告書を歓迎し、パレスチナ人に対する戦争犯罪でイスラエルの指導者を訴追するよう求めた。
パレスチナ自治政府も報告書を称賛し、イスラエルの「不処罰」に終止符を打ち、説明責任を果たさせるよう求めた。
イスラエル外務省はこの報告書を「魔女狩り」「金と労力の無駄遣い」と呼んだ。
イスラエルは調査委員会の入国を禁じているため、調査団は主にジュネーブとヨルダンで証言を集めた。
この報告書は来週、ジュネーブのUNHRCで審議される予定。