◎今年7月1日に10.45ユーロ(1465円)に引き上げられ、10月1日に12ユーロ(1683円)になる予定。
2022年6月3日/ドイツ、ベルリンの首相官邸前、ウクライナ議会議長の到着を待つショルツ首相(Markus Schreiber/AP通信)

ドイツ連邦議会は3日、ショルツ(Olaf Scholz)首相の公約のひとつである最低賃金を段階的に引き上げ、時給12ユーロ(1683円)とすることに合意した。

ドイツ政府によると、国内の労働者約620万人が時給12ユーロ以下で働いているという。

ドイツは最低賃金法の導入に消極的だったが、保守派のメルケル(Angela Merkel)前首相の連立パートナーだった社会民主党のショルツ氏の提案で2015年に導入された。

最低賃金は当初、時給8.50ユーロ(1192円)に設定された。その後、労働組合と経営者の代表が参加する委員会が現在の9.82ユーロ(1377円)への引き上げを承認した。

これが今年7月1日に10.45ユーロ(1465円)に引き上げられ、10月1日に12ユーロになる予定だ。

委員会は改定に向けた協議を開始している。

ショルツ氏は12ユーロを達成すると国民に約束し、昨年9月の選挙戦でも最低賃金の引き上げを「公正さ」と「労働者に対する敬意」として、公約の柱のひとつに掲げていた。

労働相は3日の議会演説で、「10月1日の賃上げは多くの女性労働者や東ドイツの労働者を含む低賃金で働かされている600万人以上の労働者に過去最大の恩恵をもたらす」と述べた。

かつて共産主義だった東部地域の経済は、ベルリンの壁崩壊から30年以上経った今でも西よりはるかに遅れている。

今回の賃上げはロシアのウクライナ侵攻によるインフレが加速する中で決まった。ドイツのインフレ率は1973~1974年以来の高水準となっている。

コロナウイルスとインフレの影響で業績が悪化した一部の中小零細企業は最低賃金の引き上げに懸念を表明している。

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