◎押収された覚せい剤はバグダッドと他の州で取引される予定だった。
イラク政府は30日、首都バグダッドでアンフェタミン系の覚せい剤カプタゴン620万錠を押収し、10人を逮捕したと発表した。
国家安全保障局によると、麻薬密売組織はバグダッドの南西にある倉庫に薬物を保管していたという。警察は30日の声明で、「覚せい剤約620万錠を押収し、組織に壊滅的打撃を与えた」と報告した。
現地メディアによると、イラク人3人と近隣諸国の4人の合わせて7人が麻薬密売などの容疑で逮捕された。
AP通信は当局のコメントを引用し、「覚せい剤はバグダッドと他の州で取引される予定だった」と報じた。
また警察はこれとは別に、ハシシ(大麻製品)6kgを所持していた男3人を逮捕したと報告している。
国家安全保障局は声明の中で、「今回逮捕した10人は国際的な麻薬密売ネットワークとのつながりを認めた」と述べている。
イラクの法律は麻薬密売の最高刑を死刑としている。
カプタゴンは1960年代初頭にドイツで特許を取得した薬剤の商品名で、フェネチリンというアンフェタミン系の興奮剤を含み、注意欠陥やナルコレプシー(強い眠気に襲われる、眠ってしまう病気)などの治療に使用されてきた。
カプタゴンはその後違法薬物に指定され、現在は主に中東で生産・消費されるようになった。諸外国で「スピード」と呼ばれる覚せい剤がこれに近い効果を持つ。
カプタゴンの主要生産国はシリア、主要市場はサウジアラビアである。
サウジ当局は昨年4月、レバノン産ザクロの中に隠されていたカプタゴン530万錠以上を押収した。
サウジはこの事件後、レバノンの輸入業者が薬物の密輸に絡んでいる可能性があると指摘し、果物や野菜の輸入を停止したうえで、レバノン当局を厳しく非難した。
サウジ当局は昨年6月にも税関でオレンジの中に隠されていたカプタゴン450万錠以上を押収し、さらに、レバノン産鉄板と一緒に持ち込まれた1440万錠を押収した。
イラク当局によると、麻薬の密輸と使用は近年急増しているという。警察は主に港の監視体制を強化している。
取り締まり強化が功を奏し、当局は今年の第1四半期だけで300万錠以上のカプタゴンを押収した。