◎昨年のラマダン期間中に発生した衝突と抗議デモは、イスラエルとイスラム過激派組織ハマスによる11日間のガザ紛争に発展した。
イスラエル政府は18日、パレスチナのガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾が発射されたため、迎撃したと発表した。
エルサレムの聖地アルアクサ・モスクで150人以上が負傷した先週の衝突は地域の緊張を高めた。イスラエル警察はモスクの礼拝者の一部が石を集め始めたという理由で取り締まりを開始し、暴動に発展した。
地元メディアによると、ロケット攻撃による死傷者や被害の報告は今のところ確認されていないという。
イスラエル政府の記者会見前、ロケット弾や銃火器を大量に保有するイスラム過激派組織「イスラム聖戦」の指導者は、アルアクサ・モスクにおけるイスラエル警察の「違反行為」を非難していた。
アルアクサ・モスクはイスラム教で最も神聖なモスクのひとつであり、ユダヤ人の丘の上に建っている。この聖地はイスラエルとパレスチナの暴力の火種になってきた。
昨年のラマダン期間中に発生した同様の衝突と抗議デモは、イスラエルとイスラム過激派組織ハマスによる11日間のガザ紛争に発展した。
イスラエルのベネット首相は18日、「イスラエルはハマス主導の扇動キャンペーンの標的になっている」と懸念を示した。
一方、数十年前にイスラエルと和平を結び、安全保障に関してイスラエルと協調しているヨルダンとエジプトは、アルアクサ・モスクにおけるイスラエルの取り締まりを非難している。モスクの管理者であるヨルダンは18日、イスラエルの大使に懸念を伝えた。
またヨルダン外務省は18日の声明で、「アブドラ2世はエジプトのシシ大統領と衝突について協議し、モスクにおける違法かつ挑発的なイスラエルの措置を停止することで合意した」と述べている。
報道によると、ヨルダンはこの問題について他の湾岸諸国とも協議する予定。
イスラエルは昨年からヨルダンとの関係改善に取り組んでおり、最近ではイランに対する共通の懸念から他の湾岸諸国との関係も正常化した。しかし、今回の暴動と緊張の高まりは、ベネット政権が棚上げしたパレスチナ問題に再び注目を集めることになった。
イェシュ・アティッド党の連立政権の一翼を担うアラブ政党「ラーム党」は17日、連立関係を一時的に停止すると発表した。地元メディアによると、連立から抜ける可能性は低いという。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、そしてアルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領した。それ以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。
前回のパレスチナ和平交渉は10年以上前に破綻している。超国家主義者のベネット首相はパレスチナ国家の建設に強く反対しているが、政府はここ数カ月、パレスチナ人の経済状況を改善する取り組みを進めている。
パレスチナ人は以前から、イスラエルがアルアクサ・モスクの敷地を乗っ取ったり、分割したりすることを恐れていた。
イスラエルのユダヤ人過激派グループはここ数日、SNSでアルアクサ・モスクをアラブ人から保護するよう求め、パレスチナ人はこれを阻止しモスクを守るよう呼びかけていた。