◎教皇はキエフを訪問する可能性に言及したが、具体的な日程や詳細には触れなかった。
ローマのフランシスコ教皇は2日、ウクライナで進行中の「野蛮な戦争」を始めた指導者を幼稚と呼び、ロシア・ウクライナ戦争についてこれまでで最も厳しい非難を展開した。
教皇は最初の訪問地マルタで首脳らと会談し、ウクライナ危機などについて話し合った。
教皇はロシアとプーチン大統領には直接言及しなかったが、「ある有力者が幼稚で破壊的な侵略と核戦争の脅威を世界に解き放った」と述べたため、誰に言及しているかは明らかであった。
また教皇は、「他国への侵略、野蛮なストリートファイト、核兵器の脅威は遠い過去の出来事だと考えていた」と述べ、国際社会に避難を余儀なくされたウクライナ市民への支援を加速するよう求めた。
教皇はこれまで、ロシアとプーチン大統領を名指しすることを避けてきた。これは侵略者と呼び捨てにせず、対話という選択肢を常にオープンにしておくというバチカンの伝統に基づいている。
しかし、教皇は2日の演説で侵略戦争の責任者を厳しく糾弾した。
「またもや、悲しいかな、時代錯誤の国益主義的主張にとらわれた権力者が紛争を誘発し、煽っています。一方、普通の人々は本来あるべき未来を築けるかどうか心配しています」
教皇はマルタに向かう途中、記者団に対し、「キエフを訪問する可能性がある」と述べたが、具体的な日程や詳細には触れなかった。
キエフのクリチコ市長は先月、他の宗教指導者と共に教皇を平和の使者として招きたいと述べたが、一部の市民と専門家は戦火が首都近郊に迫っているとして、教皇の訪問に懸念を表明している。
教皇は「戦争で心が痛く、膝の痛みも忘れる」と述べた。
教皇は右膝の靭帯を痛め、炎症がひどくなったため、バチカン政府は2日のマルタ行き飛行機の乗り降りにエレベーター付ステップ車を用意した。
マルタ訪問はもともと2020年5月に予定されていた。教皇は欧州の移民問題の中心であるシチリア島とマルタ政府の役割、危険な地中海の亡命ルート、戦争・紛争・貧困から逃れた人々を受け入れないという欧州の移民政策にも焦点を当てた。
教皇は、EUがリビアと結んだ移民を追い返す協定を「卑劣」と非難し、欧州はウクライナ難民を保護するような人道性を他国にも示さなければならないと訴えた。
リビア当局は欧州を目指す難民の出発地点である同国北部海岸線のパトロールを強化し、EUは難民を連れ戻すリビア沿岸警備隊に訓練プログラムを提供している。イタリアを含む地中海諸国はこの協定を強く支持している。
しかし人権団体は、協定を難民や亡命希望者の「人権侵害プログラム」と非難し、連れ戻された人々はリビアの収容所で非人道的な扱いを受けていると告発している。
ドイツは今週、リビア沿岸警備隊が移民に対して容認できない、場合によっては違法な扱いをしていると非難し、訓練提供を取りやめると発表した。
教皇はリビアの収容施設を「強制収容所」と非難しているが、2日の演説ではさらに踏み込み、「EUが虐待に加担している」と述べた。「文明国家は、自国の利益のために人間を奴隷にする犯罪者との卑劣な協定を承認すべきではありません...」
EU最小国のマルタは地中海を渡る移民・難民を防御する最前線に長く立ち、しばしば救助船の停泊を拒否して非難を浴びてきた。ドイツ政府は今週、援助団体が海上で保護した106人のために停泊できる港を探したが、船はマルタではなくシチリア自治州に向かった。
マルタは欧州の大国に、難民保護の負担をより多く担うよう求めている。
教皇は首都バレッタで首脳らと会談した後、ゴゾ島に渡った。ゴゾ島の港に集まった人々は万雷の拍手で教皇を歓迎した。