◎プーチン大統領は西側諸国の経済制裁に対抗し、天然ガスのルーブル建てを要求している。
ドイツとオーストリア政府は30日、ロシア産天然ガスのルーブル建て問題を受け、国内のガス供給に支障きたす可能性があるとして緊急対応策を発動すると発表した。
ロシアは西側の「非友好国」に対し、3月31日から天然ガス代をルーブルで支払うよう要求したが、G7を含む主要国はこの要求を拒否している。
その後、ロシアは30日に態度を軟化させ、ルーブル建ては徐々に導入すると明らかにした。
しかし、ドイツとオーストリアは天然ガス供給が滞る可能性を考慮し、ガスの配給に向けた取り組みを開始した。
ドイツのハーベック副首相は消費者や企業にガスの使用を抑えるよう促し、オーストリア政府はガス市場の監視を強化すると発表し、介入を示唆した。
ドイツは国内で消費する天然ガスの約半分、石油の3分の1をロシアから調達しており、供給が止まると経済活動と家庭に深刻な影響が出る可能性がある。
隣国のオーストリアは天然ガスの約80%をロシアに依存している。同国のネハンマー首相は30日、ガスの配給は緊急事態が発生した場合にのみ行うと強調した。
両国は緊急事態に対応する計画を3段階に分けており、30日に第1段階である「早期警戒」を発動した。最終段階に入るとガスの配給制が始まる予定。
ドイツのハーベック副首相は、「ドイツのガス供給は当面の間は保護されているが、ロシアがエスカレートした場合に備えて予防措置を強化している」と説明した。
ドイツ連邦ネットワーク庁の責任者であるミュラー氏は、「早期警戒の目的は供給悪化を避けること」と述べ、消費者と企業に「あらゆるシナリオ」に備えるよう促した。
一方、ロシアのペスコフ報道官は30日、「31日からルーブル建ては要求しない」と述べ、西側をけん制した。「支払いと配送手順の見直しは時間のかかるプロセスであり...技術的な観点から移行には時間がかかるだろう...」
プーチン大統領は西側諸国の経済制裁に対抗し、天然ガスのルーブル建てを要求した。
世界のアナリストたちはこの動きを急落したルーブルを支える措置と指摘している。
欧州は天然ガスの40%をロシアから輸入し、そのほとんどをユーロで支払っている。ロシアの国営ガスプロム社は契約内容の変更は受け付けないと主張している。
ロシア議会のヴォロージン下院議長は30日の声明で、「欧州の指導者たちはルーブルで支払うことができない理由を正当化する必要がある」と述べた。「ガスが欲しければルーブルを探せ」
またロシアは穀物、肥料、金属、木材など他の商品についてもルーブル建てを要求する可能性があると示唆している。
世界最大の産油国である米国はロシア産エネルギーの禁輸に踏み切ったが、EUは同様の措置を取れずにいる。