◎犯行声明を出した過激派組織は今のところ確認されていない。
2022年3月4日/パキスタン、ペシャーワルのシーア派モスク(Muhammad Sajjad/AP通信)

3月4日、パキスタン北西部の都市ペシャワールのシーア派モスクで自爆テロが発生し、少なくとも56人が死亡、190人以上が負傷した。

地元メディアによると、犯行声明を出した過激派組織は今のところ確認されていないという。

ペシャワールはアフガニスタンの国境近くに位置する都市で、過去にイスラム国(ISIS)やパキスタンのタリバン(アフガンのタリバンとは異なる組織)が同様の攻撃を行ったことがある。

市内の医療機関によると、負傷者の多くが重体だという。

ペシャワール警察の署長は記者団に、「爆弾付きベストを着た男が発砲し、警察官と銃撃戦になった」と明らかにした。この銃撃戦で警察官1人が死亡、1人が負傷し、その後容疑者はモスク内に逃げ込み、自爆した。

AP通信によると、容疑者は黒いショールで全身を覆い、爆弾を隠していたという。地元メディアが報じたCCTVの映像にも容疑者と思われるショールをまとった男の姿が映っていた。

目撃者などによると、爆発が起きたのは礼拝者が金曜日の礼拝のために集まり始めていた時間帯だったという。

目撃者のひとりはAP通信の取材に対し、「モスクに入ろうとした時、爆風で地面に叩きつけられた」と語った。「目を開けると、そこらじゅうに死体が転がっていました」

イムラン・カーン首相は事件を非難し、関与した組織や個人を裁判にかけると約束した。

国家安全保障顧問は自爆攻撃の背後にいるイスラム過激派組織を追跡していると述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

イラン外務省も攻撃を非難し、犯人は「イスラム教徒の間に不和をもたらそうとしている」と述べた。また同省の報道官はウェブサイトに掲載された声明の中で、「パキスタン政府の確固たる行動でこうした攻撃に終止符を打つことを望む」と述べたが、それ以上の情報は提供しなかった。

スンニ派の多いパキスタンでは少数派のシーア派が標的になってきた。ここ数カ月、同国では暴力が著しく増加し、アフガニスタンとの国境沿いにある軍の前哨基地が何度も攻撃を受け、多くの兵士が死亡している。

攻撃の大半はパキスタンのタリバンによるものと考えられている。

パキスタンはアフガン政府に、アフガニスタンから攻撃を仕掛けているパキスタンのタリバンの戦闘員を引き渡すよう求めている。

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