◎ジョブネル・モイーズ大統領は昨年7月7日に首都ポルトープランスの自宅で暗殺された。
3月2日、ドミニカ共和国政府は、ハイチのジョブネル・モイーズ大統領暗殺事件に関与したとされる容疑者をハイチ当局に引き渡したと発表した。
容疑者はハイチの元警察官で、ドミニカとハイチの国境沿いの町で逮捕された。
モイーズ大統領は昨年7月7日に首都ポルトープランスの自宅で暗殺され、妻のマルティーヌ夫人も銃撃を受け負傷した。
ドミニカ軍の広報担当はAP通信の取材に対し、「警察は国境の町ダハボンに潜伏していたフィロメ容疑者を数日前に逮捕され、ハイチ当局に身柄を引き渡した」と述べた。
広報担当によると、警察はハイチ当局の要請を受け、フィロメ容疑者を調査していたという。警察は容疑者の詳細を明らかにしておらず、モイーズ大統領の暗殺にかかわったとだけ述べている。
ハイチは大統領暗殺事件に関わったとされる現職警察官数人、元上院議員、コロンビアの傭兵などを逮捕しており、その数は40人を超えたと伝えられている。
コロンビア政府によると、逮捕された同国の傭兵18人は取り調べの中で、「大統領を暗殺するとは聞いていなかった」と述べ、雇い主に騙されたと主張しているとのこと。
今年1月にドミニカで逮捕された情報提供者のロドルフ・ジャール容疑者と、昨年10月にジャマイカで拘束された元コロンビア兵1人の身柄引き渡し手続きは現在も続いている。
ハイチ政府は事件の解決だけでなく、裁判を担当する判事の指名にも苦労している。事件を担当する予定だった判事のひとりは個人的な理由、その後任は汚職で告発され退任している。
ハイチは暗殺事件から1カ月に発生したM7.2の大地震で混乱状態に陥り、その後のギャングの台頭と進行中の燃料危機は混乱に拍車をかけた。
国連のレポートによると、ハイチの人道的危機は日を追うごとに悪化しており、2022年中に人道支援を必要とする人は人口の43%(490万人)に達する可能性があるという。