キューバ燃料危機、海底トンネルを通るバスに注目集まる
このサービス自体は新しいものではなく、1990年代のソ連崩壊後の経済危機時に導入された。
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キューバの首都ハバナで海底トンネルを通るバスが深刻化する燃料危機の中で市民生活を支える重要な交通手段として注目を集めている。
このバスはハバナ湾の海底トンネルを通過する短距離路線で、自転車や電動スクーター、小型バイクとともに乗車できるのが特徴である。通常、これらの車両はトンネル内の通行が禁止されているため、通勤者にとって貴重な移動手段となっている。車内は前方に座席がある一方、後方は車両を積載できるスペースとなっており、利用者は自らの乗り物とともに乗り込む仕組みである。
運行距離は約3キロと短く、所要時間はおよそ15分、湾を大きく迂回する陸路では約16キロを移動する必要があり、時間と労力の差は大きい。料金は数ペソと非常に安価で、タクシー料金が労働者の日給に匹敵するほど高騰する中、低所得層にとって現実的な選択肢となっている。
背景にはキューバが直面する数十年で最も深刻なエネルギー危機がある。2026年初頭、米国による制裁強化や原油供給の停滞によりガソリン不足が深刻化し、公共交通機関が大幅に縮小、あるいは停止に追い込まれた。その結果、市内の道路からは自動車が激減し、自転車や電動バイクが主な移動手段へと変化している。
こうした状況の中で、このバス路線は1日2000人以上を輸送するなど需要が急増している。利用者の中には交通手段がほとんど失われたため、このバスに頼らざるを得ないと語る市民も多い。実際、従来のバス路線が機能しなくなり、長距離を徒歩で移動する人や、帰宅できずに夜を過ごす人も出ているという。
このサービス自体は新しいものではなく、1990年代のソ連崩壊後の経済危機時に導入された。当時も燃料不足が深刻で、自転車の普及とともに同様の交通手段が必要とされた経緯がある。その後、状況の改善とともに利用は減少したが、今回の危機で再び不可欠な存在として復活した形だ。
現在のキューバでは燃料不足が経済や日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼしている。停電や物流停滞も頻発し、市民の生活は一層厳しさを増している。そうした中で、海底バスは単なる交通手段にとどまらず、危機下における適応と工夫の象徴ともなっている。
燃料に依存しない移動手段への転換が進む中、この海底バスは都市機能を維持するための重要な役割を担い続けており、キューバ社会の脆弱性と同時に、そのしぶとい持続力を浮き彫りにしている。
