◎一部の地域では水の奪い合いが始まったと伝えられている。
2022年4月15日/南アフリカ、東部ダーバンの郊外(Getty Images/AFP通信)

南アフリカ政府は16日、東部ダーバンで発生した洪水について、これまでに398人の死亡を確認し、少なくとも27人の行方が分かっていないと発表した。

ダーバン(クワズール・ナタール州)を含む東部地域ではこの1週間のまとまった雨で地盤が緩み、山間部では雨が止んだ後も小規模な土砂災害が報告されている。

被災地の高速道路と市道は水没し、病院は停電と断水の影響で機能を停止し、1万戸以上の民家が全壊または半壊した。アフリカ大陸最大の港のひとつであるダーバン港も操業を停止している。

クワズール・ナタール州の予報官は16日から17日にかけてさらに多くの雨が降ると伝えている。

州政府の報道官は16日、「これまでに398人の死亡を確認し、少なくとも27人が行方が分かっておらず、犠牲者はさらに増える可能性が高い」と記者団に語った。

また報道官によると、58の病院と診療所が深刻な被害を受けたという。

気象局の予報官はAFP通信のインタビューの中で、「クワズール・ナタール州の一部地域では雨が続いているが、新たな洪水が発生する可能性は低い」と述べている。

しかし予報官は、「ここ数日の雨で地盤が緩んでおり、特に山間部地域で行方不明者の捜索にあたっている民間人は土砂災害に警戒してほしい」と呼びかけた。

政府は被災地に軍を派遣しているが、被害は広範囲に及んでおり、支援の行き届いていない地域では住民が行方不明者の捜索活動にあたっている。

地元メディアによると、少なくとも4万人以上が避難を余儀なくされ、多くの地域で断水と停電が続いている。復旧の見通しは立っていない。

ダーバン郊外の村で被災した女性はアルジャジーラの取材に対し、「電気も水も電話も通じず、誰も助けにこない」と語った。

連邦政府の災害管理チームは16日、「被害の深刻な地域に兵士を投入し、その他の地域では地方自治体と協力して行方不明者の捜索と住民の支援にあたっている」と声明を出した。

郊外の町で支援にあたっているNGOネットケア911の代表はソーシャルメディアに、「残念なことに、地方の町や村の住民は自分たちで身内の遺体を探し、埋葬している」と投稿した。

政府は被害の深刻な地域や山間部で生活する住民に避難を呼びかけているが、これらの地域ではインターネットが通じず、住民に避難指示が伝わっているかどうかは分からない。

一部の地域では水の奪い合いが始まったと伝えられている。

ダーバンの南に位置する国内最大規模の住宅地ウムラジでは、慈善団体から寄付された食料と水を求める人々が長い列を作った。

子供と一緒に列に並んだ男性はAFP通信の取材に対し、「町は完全に孤立している」と語った。「政府は何もしてくれません...」

政府は15日、国庫から10億ランド(約86億円)を拠出し、追加予算を速やかに確保すると発表した。

ダーバン緊急医療サービスの報道官は16日の会見で、「洪水と土砂災害から6日が経過したため、今後は復興と人道支援に焦点を当てる」と述べた。

住民は行方不明になった親族や知人を必死で探している。

ダーバンの郊外で支援にあたっているボランティア組織「レスキュー南アフリカ」の代表はアルジャジーラの取材に対し、「毎日絶え間なく助けてほしいという連絡を受けている」と語った。「昨日は35件連絡を受け、6人の遺体を収容しました」

ラマポーザ大統領は聖金曜日の演説で、「コロナウイルスという災害から逃れたと思った矢先に別の災害が降りかかってきた」と述べ、国民に団結を呼びかけた。「ダーバンの洪水は南アフリカが経験したことのない大災害になりました...」

2022年4月15日/南アフリカ、東部ダーバンの郊外、行方不明者を探す人々(Getty Images/AFP通信)
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