◎大統領選は6日に行われた。
アフリカ中部・チャドの大統領選に立候補したマスラ(Succès Masra)首相が憲法評議会に選挙のやり直しを求めた。現地メディアが12日に報じた。
マスラ氏はその後、「憲法評議会に書簡を提出した」とSNSに投稿した。
大統領選は6日に行われた。選挙管理委員会は9日、最終結果を公表し、現職のデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領が得票率61%で勝利、マスラ氏は18%にとどまった。
マスラ氏は選挙結果に異議を唱え、選管が票を操作していると主張したが、その主張を裏付ける証拠は示していない。
憲法評議会は書簡を受理したとみられる。地元メディアは専門家の話しとして、「選挙がやり直しになる可能性は低い」と伝えている。
首都ンジャメナでは選管の発表後、デビ政権に反対する勢力が治安部隊に襲いかかり、銃撃戦に発展。一部メディアは一般市民を含む数人が死傷したと伝えているが、詳細は不明だ。
イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であった息子のデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は民政復帰を約束したものの、野党の猛批判を払いのけ、移行期間を2年延長した。
チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もなく、選挙で国家元首を選出したのも初めてである。
マスラ氏は2022年10月にチャドを脱出した。デビ政権は当時、移行期間の延長に抗議するデモを取り締まり、野党7党を活動停止処分にしていた。この抗議デモでは60人以上が死亡している。