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米カリフォルニア州でガソリン不足のリスク高まる、知っておくべきこと

カリフォルニア州が特に影響を受けやすい理由は、その構造的な事情にある。
2026年5月4日/米カリフォルニア州ロサンゼルスのガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信)

米国とイランの戦争が長期化する中、カリフォルニア州でガソリン不足が発生する可能性があるとして、懸念が高まっている。結論から言えば、現時点で直ちに供給不足が起きる可能性は低いと専門家はみているが、状況が続けば価格高騰や供給逼迫のリスクは確実に高まると指摘されている。

背景にあるのは、世界的な原油供給の混乱である。イラン戦争に伴い、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の通行が大きく制限され、原油供給が滞っている。これにより原油価格が上昇し、米国全体でガソリン価格が急騰している。特にカリフォルニア州では1ガロン=6ドルを超え、全米平均を大きく上回る水準となっている。

こうした中、一部の州議員からは「供給不足が起きるのではないか」との懸念が示されている。しかし、カリフォルニア州議会のエネルギー委員会は、少なくとも今後数週間については需要を満たす十分なガソリン供給が確保されていると説明。「少なくとも6週間程度は供給不足は見込まれない」とし、短期的な不足の可能性は低いとの見方を示した。

ただし、この見通しはあくまで短期的なものにすぎない。アルバレス(David Alvarez)州議会議員は戦争が長引けば価格上昇は避けられず、消費者への影響はさらに強まると警告している。実際、専門家も「価格が上昇すれば供給は呼び込まれるが、その代償は高騰した価格として消費者に跳ね返る」と指摘する。

カリフォルニア州が特に影響を受けやすい理由は、その構造的な事情にある。同州は環境規制が厳しく、独自仕様のガソリンを使用しているため、他州からの供給融通が難しい。また近年は製油所の閉鎖や稼働停止も相次ぎ、域内の精製能力が低下している。さらに輸入への依存度も高く、海外供給が滞ると影響を受けやすい体質となっている。

加えて、今回の危機は単なる原油不足ではなく、「精製燃料の不足」という側面も強い。世界的にガソリンやジェット燃料などの在庫が減少しており、供給網全体のひっ迫が問題となっている。これは原油が存在していても、精製・輸送の制約により市場に十分に届かない可能性を意味する。

それでも、米本土で深刻なガソリン不足が発生するには、さらに極端な状況が必要だと専門家はみている。エネルギー市場では価格が需給バランスを調整するため、供給が減れば価格が上昇し、需要が抑制される「需要破壊」が起きる。つまり、ガソリンが物理的に消える前に、価格高騰によって消費が減少し、市場は均衡に向かうという構図である。

実際、すでに高騰する価格は消費行動に影響を及ぼし始めている。全米ではガソリン価格が戦争前より50%上昇し、旅行計画の見直しや消費削減の動きが広がっている 。カリフォルニア州でも同様に、運転を控える、電気自動車への転換を検討するなどの対応が進んでいる。

総じて言えば、カリフォルニア州で直ちにガソリンが枯渇する可能性は低いものの、価格高騰と供給の不安定化はすでに現実の問題となっている。戦争が長期化すれば、供給網の脆弱性がさらに露呈し、州民の生活や経済活動への影響は一層深刻化する可能性が高い。短期的には「不足」よりも「高価格」が最大のリスクであり、その状態がどこまで続くかが今後の焦点となる。

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