◎スリランカは国際通貨基金(IMF)との救済交渉で結果が出るまで、今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止すると発表している。
2022年6月26日/スリランカ、首都コロンボの市場(Eranga Jayawardena/AP通信)

米政府の代表団が26日、過去に類を見ない経済危機と深刻な日用品不足にあえぐスリランカに到着した。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。米国はこの2週間、スリランカ政府との協議を進め、数百万ドルを援助した。世界銀行も医薬品などの購入に必要な資金3~6億ドルを拠出すると表明している。

ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は今週、外貨不足により債務を処理することが不可能となり、食料や燃料の確保もままならないと宣言した。

米国代表団はカプロス(Robert Kaproth)財務次官補(アジア担当)とケイダーリング(Kelly Keiderling)国務次官補(南・中央アジア担当)が率いている。

スリランカの米国大使館は26日、「代表団は4日間滞在する予定で、政治家、経済学者、国際機関などと会談する」と発表した。「この会談で困窮しているスリランカ国民、経済危機の解決に取り組む関係者、将来の持続可能かつ包括的な経済を構築しようとする政治家を支援する方法を模索します...」

米国の在スリランカ大使であるチャン(Julie Chung)氏はSNSに、「代表団の訪問はスリランカの国民の安全と繁栄に対する米国の継続的なコミットメントを強調するものである」と投稿した。

またチャン氏は、スリランカの国民は過去に類を見ない経済的課題に耐えているとし、米国は人々の生活とスリランカ経済を支援すると表明した。

米政府は26日、スリランカ国内の中小企業に対する1億2000万ドルの新規融資、乳製品産業に2700万ドルの援助、低中所得者層に575万ドルの人道支援を提供すると発表した。

さらに、生活支援と金融改革に関する技術支援に600万ドルを充てると約束した。

スリランカは国際通貨基金(IMF)との救済交渉で結果が出るまで、今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止すると発表している。2026年までは毎年平均50億ドルを処理し続けなければならない。

政府報道官は25日夕方のツイートで、「燃料の入荷が遅れる」と発表し、ガソリンスタンドに並ばないよう市民に呼びかけた。

また報道官は、燃料の在庫の一部を来週中に限られたガソリンスタンドに配給し、その後は燃料が入荷されるまで公共交通機関や発電所を優先するとした。

ウィクラマシンハ首相は22日の声明で、「セイロン石油公社は負債を処理できなくなり、その結果、輸入燃料を購入できなくなった」と述べていた。

一方、デモ隊はラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任を求め、2カ月以上大統領府前や議会周辺で抗議を続けている。

スリランカの債務はラジャパクサ氏率いる前政権の「後先考えない無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、中国の「債務トラップ」の影響で膨れ上がり、債務不履行に陥った。

2022年4月4日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(Dinuka-Liyanawatte/ロイター通信)
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