◎台湾の兵役期間は1990年初頭の3年から1年10カ月に短縮され、その後現在の4カ月になった。
台湾陸軍の兵士(Getty Images/AFP通信)

台湾政府は27日、中国による軍事侵攻の可能性が高まっているとして、兵役義務の期間を現在の4カ月から1年に延長すると発表した。

蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は記者会見で中国人民解放軍の侵略に備える防衛力増強計画を公表。「戦争を望んではいないが、平和は空から降ってくるものではない」と警告した。

また蔡総督は共産党指導部が香港を支配下に置いたことなどを念頭に置き、「台湾は権威主義の拡張の最前線にある」と指摘した。「ご存じの通り、彼らは拡張しつつあります...」

蔡総督は徴兵期間中の訓練について、「米国や他の先進国の軍隊からいくつかの支援を受け、実戦を想定したより厳しいものになる」と述べた。

また、「現在の台湾の防衛システムは世界最大規模の軍隊を保有する中国の侵略に対処するには不十分である」と強調した。

台湾の兵役期間は1990年初頭の3年から1年10カ月に短縮され、その後現在の4カ月になった。新ルールは2024年1月に施行される予定。同じ時期に総統選が行われる。

最近行われた世論調査によると、回答者の75%以上が「兵役義務4カ月は短すぎる」と回答したという。また軍も給料の低さから志願兵の確保に苦労していたようだ。

蔡総督は、「これは非常に厳しい決断だが、兵役は国益と民主的な生活を守るために避けられない義務であると考える」と述べた。

また蔡総督は「国際社会を含む誰もが戦争を望んでいない」とし、中国が軍事演習という名目で威嚇行為を繰り返していることを非難した。

台北と中国の緊張は8月のペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長の訪台で急上昇した。

中国はこれに対し、台湾近海で過去最大の軍事演習を強行。台湾はこの演習を非常に挑発的と非難した。

習近平(Xi Jinping)国家主席は10月、党大会の演説で「統一を成し遂げるためには武力行使も辞さない」という姿勢を改めて示した。

米政府は中国が従来の予想よりもはるかに速い統一を目論んでいると警告している。

先月のG20サミット中に開催された米中首脳会談でもこの問題が主要議題に上げられたとみられる。バイデン(Joe Biden)大統領は会談後、「中国は台湾に侵略しないと思う」と述べた。

しかし、台湾当局は26日、戦闘機やドローンを含む中国空軍の連隊71機が防空識別圏に侵入したと発表した。

2021年6月28日/中国、首都北京、共産党創立100周年式典の前に開催された集会(Ng Han Guan/AP通信)
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