◎スリランカは現在、隣国インドの信用枠で何とか食いつないでいる。
2022年4月4日/スリランカ、首都コロンボ、調理用ガスを探す人々(Getty Images)

スリランカィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は30日、国際通貨基金(IMF)との救済交渉が9月まで延期されたと発表した。

ウィクラマシンハ氏は先週大統領に選出されるまで首相としてIMFとの交渉を主導してきた。

同氏によると、交渉は8月初旬に完了する予定だったが、約1カ月延期されたという。

前任のラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領はシンガポールに逃亡し、メールで辞表を提出した。

ウィクラマシンハ氏は就任後初の演説で、「IMFと救済策について協議してきたが、ここ数週間は抗議デモの影響で交渉を行えていなかった」と説明した。

スリランカは現在、隣国インドの信用枠で何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。

国民は調理用ガス、ガソリン、食料、その他日用品の入手に苦労しており、その影響は貧困層から中産階級に拡大した。

ウィクラマシンハ氏は29日、議会に宛てた書簡の中で、「すべての力を結集して危機に対処する必要がある」と呼びかけていた。

同氏は30日もこの呼びかけを繰り返し、「ラジャパクサ氏を非難しても問題は解決しない」としたうえで、「立法、行政、国民の力を結集しなければならない」と訴えた。

ウィクラマシンハ氏は6回首相を務めたベテラン政治家だが、ラジャパクサ一族の支援を受けた与党に支持されているため、人気は低い。

一部のデモ隊はウィクラマシンハ氏も政界を引退すべきと呼びかけているが、多くの専門家がIMFとの救済交渉を主導してきた同氏にチャンスを与えるべきと指摘している。

議会は今週、非常事態の1カ月延長を賛成多数で可決した。

2022年7月20日/スリランカ、首都コロンボの国会前、ウィクラマシンハ新大統領(Rafiq Maqbool/AP通信)
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