◎中国政府もフィリピン当局の取り締まりを支持している。
カードを配る女性(Getty Images)

フィリピン当局は19日、214の違法オンラインギャンブル事業を取り締まり、運営に関与した中国人6人を国外退去させたと発表した。

フィリピンではギャンブル事業に関与した中国人労働者が誘拐されたり性的虐待を受ける事件が相次ぎ、取り締まり強化を求める声が上がっていた。

地元メディアによると、フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーター(POGO)と呼ばれる中国人が運営するギャンブル会社は2016年から急成長を始め、この6年で約300億ペソ(約760億円)を稼いだという。

今回の取り締まりは税金やレベニューシェアを支払っていない、あるいはその他の法律違反を犯した中国人事業者が対象となった。

政府報道官は声明で、「事業に関与した中国人労働者約4万8000人のビザを取り消した」と説明している。

中国政府も公式にはギャンブルを禁じており、フィリピンの取り締まりを支持しているようだ。

在フィリピン中国大使館は先週、「POGOに関連する犯罪は中国とフィリピンを害している」と声明を発表した。

フィリピン政府報道官によると、強制送還された中国人事業者6人は今年9月以降に当局に拘束された中国人372人の一部だという。

報道官は声明で、「当局は他の事業者についても、中国当局と連携して国外退去の準備を進めている」とした。

地元メディアによると、オンラインギャンブル事業に関与した中国人労働者は20万~30万人と推定される。事業者は労働者のために不動産事業などにも手を付けていたという。

しかし、当局の取り締まり、法改正、コロナウイルスの大流行などにより、かなりの労働者が帰国を余儀なくされたようだ。

フィリピンの連邦議会は現在、中国のオンラインギャンブル事業を全面的に禁止するかどうかを議論している。

上院公聴会は今月初め、ギャンブル事業が国に収益をもたらしていることを認める一方、「犯罪などの社会的コストも大きく、フィリピンに風評被害をもたらしている」と指摘した。

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