◎事件は15日の真昼間に発生した。
フィリピンの左翼ゲリラ(Getty-Images)

フィリピン陸軍は15日、南部バシラン州の前哨基地がゲリラの待ち伏せ攻撃を受け、兵士3人が死亡したと発表した。

南部ミンダナオ島コタバト市では同日、マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr)大統領がイスラム過激派組織の元指導者が主催する式典に出席した。

軍報道官によると、マルコス氏の式典出席と待ち伏せ攻撃の接点は不明。警察が捜査を進めている。

事件は15日の真昼間に発生したと伝えられており、多くの専門家が軍の体制と国の安全保障に疑問を呈した。

軍報道官によると、待ち伏せ攻撃を受けたのはバシラン州郊外の前哨基地で勤務を終えたばかりの3人だった。3人は同僚と交代するため基地外を移動中、ゲリラに撃たれ死亡した。

銃声に気づいた他の兵士がこれに応戦したものの、ゲリラは逃走した。

報道官によると、このゲリラはバシラン州で活動するイスラム過激派組織の一派とみられ、ここ数年の取り締まりで多くの構成員を失ったものの、数十人で活動を継続しているという。

報道官は2カ月前の取り締まりでこのゲリラの戦闘員数人を殺害したと説明したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

一方、バシラン州からそれほど遠くないミンダナオ島コタバト市ではマルコス氏が元反乱軍指導者と会談。2014年の和平協定に基づくイスラム教徒の自治区5県への支援を約束した。

反乱軍の指導者たちは自治区5県を管理しているが、強硬派の離反者たちは政府と戦い続けている。この自治区5県では2025年から選挙も行われる予定だ。

マルコス氏は演説の中で、「平和を追求するという政府のコミットメントは微塵も揺るがず、数十年に渡って紛争の影響を受けた南部地域の支援と開発を推し進める」と述べた。

2014年の和平協定はフィリピン最大のイスラム系反政府武装勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」の活動を抑えたと評価されている。MILFの戦闘員数千人は生活支援と引き換えるに銃器を捨てると約束し、その移行プロセスは2025年まで続く。

しかし、MILFから分離したイスラム過激派組織「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)」などのゲリラ部隊は政府への攻撃を続け、特に軍・警察の管理が届きにくい地方でテロ攻撃を繰り返している。

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