◎陸軍と警察は襲撃に関与した武装集団約10人の行方を追っている。
フィリピンの左翼ゲリラ(Getty Images/AFP通信)

フィリピンの警察当局は30日、反政府勢力とみられる集団が南部アンパトゥアンの警察署長を襲撃、殺害したと発表した。

地元警察によると、武装集団は事件現場に向かっていたパトカーを襲撃し、署長とその運転手が即死、警察官3人が負傷したという。

負傷した3人は武装集団と交戦し、増援が到着するまで何とか持ちこたえた。地元警察の報道官は記者団に対し、「署長たちは強盗事件の現場に向かう途中だった」と説明した。

陸軍と警察は襲撃に関与した武装集団約10人の行方を追っている。

地元メディアは警察筋の話を引用し、「イスラム過激派組織バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)の犯行とみられる」と報じている。

BIFFは南部地域の分離独立を目指していた反乱軍のひとつで、10年以上にわたって陸軍と戦闘を繰り広げてきた。

BIFFは2008年にモロ・イスラム解放戦線(MILF)から離脱し、マレーシアが仲介した政府との和平交渉で分離独立の目標を取り下げ、政府が提案した限定的な自治を受け入れた。

その他の主要反政府勢力も2014年に政府と和平協定を結び、その指導者たちは現在、イスラム教徒が大半を占める自治区5県を運営しているが、強硬派の離反者たちは政府と戦い続けている。

その一部はイスラム国(ISIS)関連グループと手を組んでいるとみられる。

2014年の和平協定により、ミンダナオ島南部とイスラム教徒の多い地域の戦闘はかなり緩和されたが、強硬派は政府だけでなくこの地域の住民にも攻撃を仕掛けている。

アンパトゥアンでは2009年、政治一族が計画した政敵に対する攻撃でメディア関係者32人を含む58人が虐殺された。

この虐殺を主導したアンパトゥアン家の43人は2019年に有罪判決を受けている。

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