◎犯行声明は出ていない。
イスラム過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の戦闘員(Getty-Images)

パキスタン軍は9日、アフガニスタンと国境を接する北西部地域で自爆テロが発生し、兵士4人が死亡したと発表した。

軍報道官によると、自爆テロは8日に発生したという。カイバル・パクトゥンクワ州郊外をパトロールしていた部隊が爆発に巻き込まれた。犯行声明は出ていない模様。

一方、アフガニスタン東部国境付近でも7日に爆弾テロが発生し、イスラム過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の幹部を乗せた車が巻き込まれ、3人が死亡した。

TTPは特定の諜報機関が攻撃に関与したと主張している。

TTPはこの攻撃で上級指導者のアブドゥル・ワリ(Abdul Wali)が死亡したと発表した。米国はワリの首に300万ドルの懸賞金をかけている。

ワリはアフガニスタンのタリバンの仲介で政府との和平交渉を行ってきた交渉官である。

パキスタン政府とTTPは5月に停戦を発表したものの、ワリ殺害で停戦を維持できるかどうかは不透明になった。

パキスタン北西部では小規模な戦闘が続いているが、TTPは停戦発効以来、沈黙を守ってきた。

AP通信はこの問題に詳しい政府筋の話を引用し、「8日の自爆テロはパトロール部隊ではなく、不特定多数を狙ったテロ」と報じている。

アフガニスタンとの国境に近い北西部の部族地域北ワジリスタン地区と周辺州は反政府勢力の拠点になっている。軍はこれらの組織を排除したと主張しているが、暴力が収まる様子は今のところ見られない。

TTPはこの地域で戦力を強化していると伝えられている。なお、TTPとアフガンのタリバンは別組織である。

アフガンのタリバンによる昨年8月の政権奪取はTTPを勢いづかせテロ攻撃を加速させた。TTPは▽イスラム法の強化▽政府に拘束された戦闘員の解放▽軍の規模縮小などを求めている。

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