◎地元メディアは23日午後の時点で数百万世帯で停電続いていると報じた。
パキスタン、首都イスラマバードの送電鉄塔(Getty Images/AFP通信)

パキスタン政府は23日、全国各地で送電網の障害による停電が発生し、数百万人が影響を受けたと発表した。

首都イスラマバード、最大都市カラチ、ラホール、ペシャワルなどの主要都市で停電が報告された。

国営電力会社によると、パキスタン南部の送電網で発生した障害が各地の変電所に波及し、ブラックアウトを引き起こしたという。

地元メディアは23日午後の時点で数百万世帯で停電続いていると報じた。

パキスタンで大規模停電は珍しくなく、その主な原因は電力設備の管理不行き届きと投資不足とされている。昨年10月の大規模停電は復旧に数時間を要した。

政府報道官によると、23日の現地時間午前7時30分過ぎに最初の障害が報告され、各地の変電所のシステムがロックしたという。

報道官は声明で、「電力会社は全国で復旧作業に当たっている」と報告した。しかし、半日以上たった今も多くの家庭や企業で停電が続いているようだ。

地元メディアは関係者の話を引用し、「低温の影響で暖房需要が急速に高まり、南部地域の需要が供給を上回った」と報じている。送電網で発生したとされる障害の詳細は明らかにされていない。

報道によると、南部の一部地域で過負荷による周波数変動と電圧変動が発生し、その後、変電所が次々と停止したという。変電所は送電線を介して発電所から送られてくる電力を変換し、配電線(電柱)を介して家庭に電気を届けている。

ラホールの地下鉄は停電の影響で運行を停止した。

一方、自家発を導入している大手企業や医療機関は難を逃れたようだ。空港も自家発に切り替え、運航を継続している。

北西部カイバル・パクトゥンクワ州ペシャワルの医療機関はAP通信に、「自家発があるため、停電の影響は受けていない」と語った。

しかし、自家発を持っていない小さな医療機関や企業は活動停止を余儀なくされている。個人宅も同様である。

シャリフ(Shahbaz Sharif)首相は今月初め、新たな省エネ計画に基づき、すべてのショッピングモールと市場に営業時間を20時30分までとするよう命じた。レストランも22時以降の営業を禁じられている。

首相府によると、この措置により620億パキスタン・ルピー(約350億円)相当の節電効果が見込まれるという。

パキスタンは昨年、国土の3分の1が水没する未曽有の水害に見舞われた。被災者は2000万人に達し、3300万人が避難を余儀なくされた。

パキスタンは国内で消費する電力の大半を石炭・石油・天然ガスで賄っている。ロシアのウクライナ侵攻で化石燃料が高騰し、パキスタンの財政状況はさらに悪化した。

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