SHARE:

北朝鮮がクラスター弾頭試射、金正恩が視察=国営メディア


試射は19日に行われ、改良型の短距離弾道ミサイル5発が使用された。
2026年4月20日に北朝鮮メディアが公開した写真、金正恩 党総書記(中央)と娘のジュエ(KCNA/AP通信)

北朝鮮がクラスター弾頭を搭載したミサイルの発射試験を再び実施し、金正恩(Kim Jong Un)党総書記と娘の娘ジュエ(Ju-Ae)がその様子を視察した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が20日に報じた。今月に入り同様の試験は2回目であり、兵器能力の高度化と対外的な示威の狙いがあるとみられている。

KCNAによると、試射は19日に行われ、改良型の短距離弾道ミサイル5発が使用された。このミサイルにはクラスター爆弾および破片地雷弾頭が搭載され、標的の島に命中したという。キムは発射結果に満足の意を示し、「高密度打撃能力の向上は軍事行動において重要な意味を持つ」と強調した。

クラスター弾は上空で弾頭が分裂し、多数の子弾を広範囲にばらまく兵器で、迎撃が困難であるうえ、不発弾が残ることで民間人に長期的被害を及ぼす危険性が指摘されている。120カ国以上が使用禁止条約に参加しているが、北朝鮮や米国などは批准していない。

今回の試射にはジュエも同行、黒い革ジャケット姿で発射の様子を見守る姿が公開された。ジュエは近年、たびたび軍事行事に同席し、後継者候補としての位置づけを示唆するとの見方が韓国情報機関などから出ている。

北は今月初旬にも同様のクラスター弾頭を搭載したミサイルを試験しており、今回の発射はその延長線上にある。実験の背景には米韓のミサイル防衛網を突破する能力を誇示する狙いがあると分析されている。また、弾頭が広範囲を同時に攻撃できる特性は、前線地域や軍事拠点に対する制圧力を高めることを意図したものとみられる。

さらに、最近の中東情勢、とりわけイランをめぐる軍事的緊張がクラスター弾の有効性に再び注目を集めたことも影響している可能性がある。北としては、こうした国際環境を踏まえ、自国の兵器体系の多様性と実戦能力を誇示する狙いがあると考えられる。

北は2019年に米国との非核化交渉が決裂して以降、核・ミサイル開発を加速させてきた。極超音速兵器や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、多弾頭化技術などの開発も進めており、今回のクラスター実験もその一環と位置づけられる。

また専門家の間では、今回の一連の発射が外交的駆け引きの一部である可能性も指摘されている。近く予定される米国と中国の首脳会談などを前に、北が交渉材料を強化し、将来的な対話における発言力を高めようとしているとの見方である。

一方、韓国や日本、米国は今回の発射を国連安全保障理事会決議違反と非難。地域の安全保障環境は緊張を増している。短距離ミサイルとはいえ、クラスター弾頭の搭載によって実戦的脅威は増大しており、特に韓国の首都圏や在韓米軍基地への影響が懸念されている。

北は近年、発射実験を通じて新型兵器の実用化を急速に進めてきた。今回の動きは単なる技術検証にとどまらず、軍事力の質的向上と政治的メッセージの双方を狙ったものとみられる。キムが娘を伴って視察した演出も含め、内外に向けた体制の安定性と継続性を示す意図が色濃く表れている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします