◎この徴兵令は先週、フライン総司令官の命令によって発動された。
ミャンマー、首都ネピドー、軍事パレード(EPA通信)

ミャンマー軍政は14日、新たに発動される徴兵法に基づき、毎年6万人の男女を徴兵すると発表した。

ミャンマー国営放送(MRTV)によると、軍当局は今年4月から毎月5000人を徴兵する予定。対象は18~45歳の男性と18~35歳の女性で、兵役期間は2年。国家緊急事態の際には期間を最大5年まで延長できる。

この徴兵令は先週、フライン(Min Aung Hlaing)総司令官の命令によって発動された。

軍政が兵役を義務付けたのは約10年振り。

軍政は3年前にアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏を追放。中露の支援を受けながら経済を回そうとしたものの、西側諸国の厳しい経済制裁と民主派勢力の勢いに押され、難しい対応を迫られている。

ラカイン族の武装集団「アラカン軍」やチン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近いシャン州北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。

地元の独立系メディアによると、隣国タイや中国国境付近の戦闘に参加した兵士1万6000~2万人が投降したり、民主派勢力に寝返ったという。

ミャンマー軍の正確な兵力は明らかになっていない。

CIAワールドファクトブックは昨年時点の兵力を15万〜40万人と推定。ワシントンD.C.に本部を置く政府系独立機関・米国平和研究所(USIP)は3年前の軍政発足以来、2万1000人もの兵士が死傷、脱走、離反し、兵力を15万人程度とみている。

徴兵逃れは3~5年の禁固刑と罰金に処せられる。宗教団体のメンバーは免除され、公務員や学生は一時猶予の対象となる予定。医師やエンジニアなど特定の専門職については、男性が45歳以下、女性は35歳以下という高い年齢制限が適用され、その任期は3年である。

軍政の報道官はMRTVに対し、「4月以降、毎月5000人が招集され、訓練を受けることになる」と明らかにした。女性は第5陣から招集される予定だ。

それによると、兵役に就く資格のある男性は約630万人、女性は770万人。同国の人口は約5600万人である。

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