◎軍事政権の指導者は先月、すべての少数民族に和平交渉を提案した。
2022年5月20日/ミャンマー、首都ネピドーの大統領府、ミン・アウン・フライン司令官(右)とシャン州の議長(Military True News Information Team/AP通信)

ミャンマーの国営メディアは20日、軍事政権の指導者が少数民族との第1回和平交渉を行ったと報じた。

ミャンマー国営放送(MRTV)によると、交渉には東部シャン州に拠点を置く少数民族シャン族の政治団体が出席したという。

ミャンマー軍のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)司令官が少数民族の代表と会談したのは、昨年2月の軍事クーデター以来初めて。

軍事クーデターに反対するデモは武力衝突に発展し、一部の国連専門家は「ミャンマーは内戦状態にある」と指摘している。

地方に拠点を置く少数民族ゲリラは地の利を生かして軍に立ち向かい、戦果を上げているとみられる。

一部の専門家は、「軍事政権はシャン族に寛大な和平条件を提示し、他の地域で活動するゲリラや野党議員に揺さぶりをかける可能性がある」と指摘している。

アウンサンスーチー氏の国民民主連盟(NLD)議員らが創設した国民統一政府(NUG)は交渉に参加しない。

シャン族はミャンマー最大の少数民族とされ、1948年の独立以来、中央政府に自治権の拡大を求めてきた。

フライン氏は先月、すべての少数民族に和平交渉を提案した。

軍報道官によると、国内で活動する21の少数民族ゲリラの半数が和平交渉への参加を表明したという。

しかし、参加を表明した少数民族は進行中の武力紛争に直接関与しておらず、会談が和平につながるかどうかは不透明な情勢である。

軍と対峙しているのは北部のカチン独立軍、南部のカレン民族同盟、東部のカレンニー民族進歩党、北西部のチン民族戦線など。これらの少数民族は民主指導者の解放と文民統制を求めている。

NUGが結成した国民防衛部隊は少数民族ゲリラから訓練、武器、避難所などの支援を受けている。

一方、フライン氏は少数民族にNUGと国民防衛部隊を支援しないよう求めている。軍はNUGをテロ組織に指定し、今年3月の国軍記念日で「反体制派を全滅させる」と宣言した。

国営MRTVは軍高官のコメントを引用し、「フライン司令官は各少数民族の望みを確認し、こちらの望みを伝え、将来の計画について議論するだろう」と報じた。

またMRTVによると、両指導者は複数政党制を確立するための取り組み、民主主義と連邦制に基づく新たな政治システムの確立、和平プロセスについて協議したという。

フライン司令官はシャン族議長に軍事政権が発足した和平交渉委員会に出席するよう促したとされる。同委員会の協議は21日に行われる予定。

2021年3月17日/ミャンマー、ヤンゴンの抗議デモ(AP通信)
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