◎カーン氏の弁護士は21日、選挙管理委員会の決定に異議を申し立てると誓った。
2022年5月25日/パキスタン、首都イスラマバード郊外、イムラン・カーン前首相(Mohammad Zubair/AP通信)

パキスタンの選挙管理委員会は21日、元クリケットスターのカーン(Imran Khan)前首相が外国高官から受け取った贈答品の売却益を正しく申告していなかったとして、公職に就く資格を剥奪した。

カーン氏は贈答品の詳細とその売却益を正しく申告しなかったと告発されている。報道によると、贈答品にはロレックス、指輪、カフスボタンなどが含まれている。

カーン氏の弁護士は21日、選管の決定に異議を申し立てると誓った。

カーン氏は21日、「パキスタンの民主主義は葬り去られた」と選管を非難し、支持者に街頭抗議を行うよう呼びかけた。

ソーシャルメディアにはカーン氏の支持者とみられる人々が首都イスラマバードでデモを行う動画が多数共有されている。デモ隊は催涙ガスを使用し、デモ隊を追い払ったようだ。

数時間後、カーン氏は支持者に落ち着くよう促した。

地元紙ドーンによると、選管はカーン氏が2020~21年に提出した資産明細において、虚偽の申告を行ったとしている。

選管は「この決定により、カーン氏の議員資格は剥奪され、その議席は空席となった」と説明している。

カーン氏は先月、首相在任中に受け取った少なくとも4つの贈答品を売却し、所得税申告書に記載したことを認めた。

政治家は個人的に受け取った贈答品を申告しなければならないが、一定額以下のものは保管しておくことを許可される。

カーン氏は容疑を否認する一方、国家安全保障上の理由から一部の贈答品は公表していないと主張している。しかし、AFP通信は当局筋の話を引用し、「選管は書面の中でカーン氏は10万ドル近くの品物を受けとり、後にその倍以上の価格で売却した」と報じている。

カーン氏の弁護士はロイター通信の取材に対し、「選管にこの事件に関与する権限はなく、裁判で争われることになるだろう」と語った。

中露寄りのカーン氏は今年4月に不信任決議で追放されて以来、政府と司法を厳しく批判し、全国各地で政治集会を開催。シャリフ(Shehbaz Sharif)首相に解散総選挙で「勝負」するよう呼びかけているが、シャリフ氏はこの要求を拒否している。

またカーン氏は4月の不信任決議を「米国の陰謀」と非難しているが、米国はこの主張を否定している。

内務省報道官は21日、選管の決定を歓迎し、「カーン氏は法廷で裁かれることになるだろう」と述べた。

タラル(Azam Nazir Tarar)法相によると、資格剥奪期間は5年。選管はカーン氏を虚偽申告と資産隠しの罪で訴追するよう司法に勧告したという。

タラル氏はカーン氏に向け、「あなたほど外国首脳から受け取った贈答品を売りさばき、大金を稼いだ政治家はいない」と述べた。

2022年4月8日/パキスタン、首都イスラマバード、カーン首相の不信任決議に抗議する人々(Getty Images/AFP通信)
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