◎太平洋地域の関係国は中国軍がソロモン諸島に駐留する可能性に懸念を表明している。
2019年10月9日/中国、北京の人民大会堂、李克強首相とソロモン諸島のソガバレ首相(Thomas Peter/Pool/AP通信)

ソロモン諸島政府は31日、中国との安全保障協定に仮調印したと明らかにした。

この協定はソロモン諸島の国内脅威に対応することを目的としている。政府はプレスリリースの中で、「ソロモン諸島は国家安全保障戦略を継続し、すべての国家を友とし、だれも敵に回さないという外交政策を堅持する」と述べている。

またソロモン諸島政府は、「両国の代表は協定案に仮調印し、必要な手続きを行ったのち、両国外相の署名を待つことになる」と説明した。

太平洋地域のパートナーであるオーストラリアとニュージーランド、そして米国は中国軍がソロモン諸島に駐留する可能性に懸念を表明している。

しかし、ソロモン諸島のソガバレ首相は先日、協定が太平洋地域の安全保障を脅かすという西側の懸念を否定し、「国家の安全保障協定を一方的に間違っていると指摘するのは非常に侮辱的である」と一蹴した。

中国外務省も協定に関する疑問を退けている。

ソロモン諸島は声明の中で、「すべての人々が平和に共存できる安全で安心な国家を提供するために、すべてのパートナーと協力し続ける」と述べている。また、AUS、NZL、パプアニューギニア、フィジーがソロモン諸島の治安を守るために人員を提供してくれることに感謝した。

協定案によると、中国はソロモン諸島の社会秩序の維持を支援するなどの理由で軍隊、警察、その他の要因を派遣できるようになる。またソロモン諸島に軍艦を寄港させ、物資を補給することも可能になり、中国が同諸島に海軍基地を建設する可能性も指摘されている。

さらに懸念を深めているのは、メディアへの説明も含め、「共同安全保障の取り決めに関するあらゆる情報の公開に中国の署名が必要である」と定めていることである。

ソロモン諸島は2019年に台湾との外交関係を断ち切った。この決定は昨年11月に国内の複数の島で発生した暴動の一因となった。

AUS警察は2017年に締結された二国間安全保障条約に基づき、首都ホニアラで平和維持活動を行っている。なお、中国の警察もソロモン諸島で訓練を行っている。

NZLのアーダーン首相は30日、ソロモン諸島に中国軍が駐留する可能性に深刻な懸念を表明した。

AUSのモリソン首相も同様の見解を示し、協定について、「太平洋地域の国家安全保障に対する絶え間ない圧力と脅威を思い起こさせる」と述べた。

米国務省は31日、中国がソロモン諸島に治安部隊を派遣する必要はないと考えていると述べた。

中国外交部の報道官は同日、「関係国は中国とソロモン諸島の安全保障協定を客観的かつ合理的に見るべきであり、無責任な発言はやめるべきだ」と西側を非難した。

また報道官は、「中国とソロモン諸島の協力は第三国を標的にするものでも、ソロモン諸島と他国の関係を煽るものでもなく、むしろ、既存の地域安全保障を補完するものだ」と付け加えた。

2021年11月26日/ソロモン諸島、首都ホニアラのチャイナタウン(Piringi Charley/AP通信)
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