◎中央政府は重要な観光資源であるアンコールワットから数万人を追い出したいと考えている。
カンボジア、世界遺産アンコール・ワット(Getty Images)

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは14日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)がカンボジアの世界遺産アンコールワットにおける住民の強制立ち退きに異議を唱えなかったと非難した。

アムネスティは14日に公表したレポートの中で、カンボジア当局による強制立ち退きを国際法違反と呼び、推定1万世帯が圧力・嫌がらせ・中傷に直面していると警告した。

それによると、立ち退きを命じられた市民の大半が補償を受けておらず、政府が指定した2つの定住地は水、電気、道路などのインフラ開発が全く進んでいないという。

アムネスティは「数万人が荒野に放り出されようとしている」と述べ、「ユネスコはカンボジア当局が国際法に違反しているにもかかわらず、見て見ぬふりをしている」と非難した。

またアムネスティは「ユネスコが国連ガイドラインを無視し、住宅で生活するという基本的人権を保障する義務を怠っている」と糾弾した。

地元メディアは専門家の話しとして、「中央政府は重要な観光資源であるアンコールワットから数万人を追い出したいと考えている」と伝えている。

アムネスティはユネスコと国際社会に対し、断固とした行動を取るよう提言した。

ユネスコはこの調査結果について、「我々は世界遺産に関するアドバイス、能力構築、アドボカシーに重点を置いており、政策を強制する能力はない」と反論している。

地元メディアによると、アンコールワットおよびその周辺で生活する数万人は観光客に物を売ったり、観光案内やゴミ拾いなどで生計を立てているという。

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