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ベネズエラ2026年4月原油輸出急増、対米関係改善で

輸出増加の背景には、同国の政治情勢の変化と対米関係の改善がある。
ベネズエラの国営石油会社PDVSAの製油所(ロイター通信)

南米ベネズエラの2026年4月の原油輸出が日量約123万バレルに達し、2018年以来の高水準を記録した。現地メディアが5月1日に報じた。前月から約14%増加し、米国やインド向けの販売が拡大した。

輸出増加の背景には、同国の政治情勢の変化と対米関係の改善がある。2026年1月の政権交代後、米国との間で原油供給に関する合意が成立し、同時に制裁の一部が緩和された。この結果、国営石油会社PDVSAの合弁パートナーや国際的な石油取引業者が活動を再開し、輸出能力が大幅に回復した。

輸出先の内訳を見ると、米国向けが日量約44万5000バレル、インド向けが約37万4000バレルと大きく伸びた。欧州向けも増加し、販路の多角化が進んでいる。従来は中国向けが中心だったが、制裁緩和と新たな取引枠組みにより、複数地域への供給が可能となった点が特徴的である。

また、輸出の担い手も変化している。米石油大手シェブロンが全体の4分の1を取り扱い、ビトルやトラフィギュラといった取引会社が多くを占めるなど、外資の関与が拡大している。これにより、停滞していた生産・輸送体制の立て直しが進んだ。

ベネズエラは世界有数の埋蔵量を持つ産油国だが、近年は制裁や投資不足により生産が大きく落ち込んでいた。今回の輸出回復は在庫の取り崩しや原油生産の持ち直しも寄与しているとみられる。実際、2026年に入ってからは月間輸出量が日量100万バレルを超える水準に回復し、回復基調が鮮明になっている。

さらに、カリブ海地域への積み替え拠点向け出荷や石油製品の輸出も増加し、物流面でも柔軟性が高まっている。一方で、軽質原油の生産に必要なナフサの輸入も続いており、依然として国外からの資材依存は残る。

今回の輸出増は世界的な供給不安が続く中でエネルギー市場にも影響を与える可能性がある。中東情勢の緊張などで原油価格が上昇する中、ベネズエラ産原油の供給増は市場の安定要因の一つと見られている。

もっとも、同国の石油産業はインフラの老朽化や制度面の不透明さなど課題も多い。輸出の急回復が一時的なものに終わるのか、それとも持続的な生産拡大につながるのかは、今後の政策運営や外国企業との協力関係に左右されるだろう。

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