チリ大統領、法人税率の引き下げ含む経済改革案を発表
チリ経済は近年、成長の鈍化や財政圧力に直面、新政権には早期の成果が求められている。
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チリのカスト(José Antonio Kast)大統領は16日、経済再建と雇用拡大を柱とする大規模な改革パッケージを発表した。企業減税を含む一連の政策は低迷する経済の立て直しを狙ったものであり、新政権の経済路線を明確に打ち出す内容となっている。
今回の改革は約40項目に及び、税制競争力の強化、正規雇用の拡大、規制緩和、法的安定性の向上、そして財政支出の抑制という5つの目標を掲げている。中でも中核とされるのが法人税率の引き下げで、現在27%の税率を4年間で23%まで段階的に引き下げる方針が示された。企業負担の軽減を通じて投資を促し、経済成長を加速させる狙いがある。
また、雇用対策としては賃金支払いに対する税額控除の導入が計画されており、中小企業の雇用創出を後押しする。政府はこの措置により約23万5000の中小企業と400万人以上の労働者が恩恵を受けると見込んでいる。非公式経済から正規雇用への移行を促すことで、労働市場の安定化を図る考えである。
さらに、開発プロジェクトに関わる環境許認可の迅速化や、新築住宅販売に対する付加価値税(VAT)の一時免除など、投資と住宅市場を刺激する政策も盛り込まれた。加えて、大規模火災の被災地域に対しては4000億ペソ規模の支援が計画され、復興と地域経済の回復も重要な柱となっている。
カスト氏は今回の改革について、「イデオロギーではなく現実的な課題への対応だ」と強調し、議会に対して早期承認を求めた。経済成長率を現在の約2.5%から4%程度へ引き上げる目標を掲げ、投資主導の成長モデルへの転換を目指す姿勢を示している。
しかし、改革の実現には政治的なハードルも存在する。議会では与党が過半数を確保しておらず、法案成立には野党の協力が不可欠である。特に法人税率の引き下げについては、財政への影響や格差拡大への懸念から反発も強く、議論は難航する可能性がある。
チリ経済は近年、成長の鈍化や財政圧力に直面、新政権には早期の成果が求められている。カスト政権は市場重視の政策を前面に打ち出す一方で、治安や財政健全化といった課題にも同時に対応する必要がある。
今回の改革案はチリが投資環境の改善と経済活性化に向けて大きく舵を切る試みといえる。ただし、減税と財政規律の両立や政治的合意形成など、乗り越えるべき課題は多い。政策の成否は今後の議会審議と実行力に大きく左右される見通しである。
