◎ギャングは先月末、政府を標的とする波状攻撃を開始。刑務所を焼き払い、国際空港を閉鎖に追い込んだ。
ハイチ、首都ポルトープランス、武装ギャング「G9&Family」のリーダー(Matias Delacroix/AP通信)

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官が11日、内戦状態にある中米ハイチの危機的状況を解決するため、カリブ海サミットに出席する。

自国から締め出されたアンリ(Ariel Henry)首相が会議に出席できるかどうかは不明だ。これは14カ国と1地域が加盟するカリブ共同体(CARICOM)が主催するものであり、ハイチ政府に暫定評議会を設置するよう呼びかけている。

米国務省の西半球担当国務次官補はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「国際社会はハイチと共に平和的な政権移行に向けて協力しなければならない」と書き込んだ。

しかし、首都ポルトープランスの大部分を支配するギャングが国際社会の呼びかけに応じるかどうかは不明だ。

CARICOMはジャマイカで緊急会合を開き、暫定評議会・政権樹立に向けて協議する。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から同国最大の武装ギャング「G9&Family」を含む複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ギャングは先月末、政府を標的とする波状攻撃を開始。刑務所を焼き払い、国際空港を閉鎖に追い込んだ。

ポルトープランスの2つの刑務所はこの攻撃で壊滅。4000人以上の受刑者が脱獄した。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

一連の戦闘で多くの市民が死亡。この1週間で数万人がホームレスになり、隣国ドミニカに逃亡した。

ポルトープランスでは物資が圧倒的に不足しており、食料危機に発展。数万人が飢餓に直面している。

国際空港は今も閉鎖されたままであり、食料などの物資を積んだコンテナが行き場を失い、放置されたままだ。

アンリ氏は先週末、国連PKOを率いるケニアのルト(William Ruto)大統領と会談。警察官約1000人をハイチに派遣する協定に署名した。

しかし、ケニアの高等裁判所は先月末、「安保理の決定に基づきハイチにケニアの警察官を派遣することは違憲である」と裁定。この裁判は現在、最高裁で争われている。

アンリ氏は5日に米領プエルトリコに移動。関係者らと協議しているものとみられるが、この1週間、一度も声明を出していない。

スポンサーリンク