SHARE:

米連邦議会下院、「戦争権限決議案」を賛成多数で可決、トランプ政権に打撃

今回の可決は、イラン政策をめぐる議会の不満と、大統領による軍事力行使の権限を巡る憲法上の議論が一段と高まっていることを象徴する出来事となった。
2026年6月3日/米ワシントンDC連邦議会議事堂、共和党のジョンソン下院議長(AP通信)

連邦議会下院は3日、トランプ(Donald Trump)大統領による対イラン軍事行動の制限を求める「戦争権限決議案」を賛成215ー反対208で可決した。共和党が多数派を占める下院で、与党議員の一部が民主党に同調した形となり、トランプ政権の外交・安全保障政策に対する異例の党内造反として注目を集めている。

決議は議会の明確な承認がない限り、イランに対する軍事行動から米軍を撤収させることを求める内容である。ただし、米国や同盟国に対する差し迫った脅威への対応など、一部の例外は認めている。背景には、今年2月に始まった米国とイランの軍事衝突が長期化し、停戦合意後も散発的な攻撃や軍事的緊張が続いていることへの懸念がある。

下院ではこれまでにも同様の決議案が複数回提出されたが、いずれも否決されてきた。4月にはわずか1票差で否決され、5月には共和党指導部が採決自体を取りやめた経緯がある。しかし、イラン戦争の戦費が1000億ドル規模に膨らみ、原油価格や海上輸送への影響が広がる中で、議会内の不満が高まり、今回初めて可決に至った。

ジョンソン(Mike Johnson)下院議長ら共和党指導部は当初、採決に慎重な姿勢を示していたが、党内からも戦争継続への疑問の声が強まった。今回の採決では複数の共和党議員が民主党側に加わり、大統領の軍事権限に歯止めをかけるべきだとの立場を示した。

一方、政権側は決議に強く反発している。ルビオ(Maro Rubio)国務長官はこうした措置がイランに誤ったメッセージを送り、米国の軍事的選択肢が制約されているとの印象を与えかねないと警告した。トランプ氏もこれまで同様、決議案に拒否権を行使し、今回も成立を阻止する構えを見せている。

決議案は今後上院に送られる。上院でも超党派による戦争権限見直しの動きが進んでいるが、最終的に成立しても大統領の拒否権発動が予想されるため、実際に軍事行動を停止させる可能性は高くないとの見方が強い。それでも今回の可決は、イラン政策をめぐる議会の不満と、大統領による軍事力行使の権限を巡る憲法上の議論が一段と高まっていることを象徴する出来事となった。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします