米共和党の重鎮が在独米軍の削減計画に懸念表明、5000人撤収予定
今回の削減はトランプ政権が欧州における軍事態勢の見直しを進める中で打ち出されたもので、完了までには6カ月から1年程度かかるとされる。
とメルツ独首相(ロイター通信).jpg)
トランプ(Donald Trump)米大統領がドイツに駐留する米軍部隊の削減を進める方針を示したことを受け、与党・共和党内の有力議員から懸念の声が上がっている。国防総省は今週、約5000人規模の部隊をドイツから撤収する計画を発表し、欧州の安全保障や北大西洋条約機構(NATO)の抑止力への影響が議論となっている。
懸念を表明したのは上院軍事委員長のウィッカー(Roger Frederick Wicker)議員と下院軍事委員長のロジャーズ(Mike Rogers)議員で、いずれも共和党の重鎮である。両氏は2日の共同声明で「ドイツから米軍旅団の一部を撤収させる決定を非常に懸念している」と述べ、部隊を欧州から引き上げるのではなく、むしろ東欧などに再配置すべきだと指摘した。
今回の削減はトランプ政権が欧州における軍事態勢の見直しを進める中で打ち出されたもので、完了までには6カ月から1年程度かかるとされる。ドイツには数万人規模の米軍が駐留しており、欧州最大の拠点としてNATOの作戦や訓練、兵站の中核を担ってきた。
背景には、イランをめぐる軍事行動への対応を巡る米欧間の対立がある。メルツ(Friedrich Merz)独首相がトランプ政権の戦略を批判したことなどから関係が悪化し、トランプ氏は同盟国の負担不足や協力姿勢への不満を強めていた。今回の部隊削減もこうした政治的緊張の延長線上にあるとみられている。
しかし、共和党内から異論が出ている点は注目される。伝統的に強い国防と同盟重視を掲げてきた共和党の主流派にとって、欧州からの撤収はロシアなど潜在的な敵対勢力への抑止力を弱める可能性があるためだ。議員たちは欧州における米軍の存在が「同盟へのコミットメントを示す象徴」であり、撤退は戦略的な誤りになりかねないと警告している。
実際、在独米軍は単なる地域防衛にとどまらず、中東やアフリカへの展開拠点としても重要な役割を果たしている。大規模な空軍基地や医療施設、訓練場が集積し、多国間演習や迅速な部隊展開を可能にする基盤となっている。このため、削減は米国自身の軍事運用能力にも影響を与えるとの指摘がある。
一方、欧州側では今回の動きを契機に防衛力強化の必要性が改めて議論されている。ドイツ政府は自立的な防衛能力の強化を進める考えを示す一方で、米軍の存在が依然として不可欠であるとの認識も強い。NATOも米国と協議しながら影響の評価を進めている。
トランプ氏は以前から在独米軍の削減に意欲を示し、同様の構想は過去にも浮上していた。今回の決定が一時的な再配置にとどまるのか、それとも欧州における米軍戦略の転換につながるのかはなお不透明である。
米国内では同盟関係の維持と対外関与の縮小という二つの路線の間で議論が続いている。今回の共和党指導部による懸念表明はその亀裂を浮き彫りにするもので、今後の米欧関係や安全保障政策の行方に影響を与える可能性がある。
