ルーマニア議会が内閣不信任決議案を可決、親EU政権崩壊
今回の政権崩壊の直接的な引き金は、PSDの連立離脱である。
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ルーマニアで親EU派の連立政権が崩壊し、政治的混乱が再び深まっている。議会は5日、ボロジャン(Ilie Bolojan)首相に対する不信任決議案を賛成多数で可決し、発足から1年足らずの政権は退陣に追い込まれた。
不信任決議は最大野党である「社会民主党(PSD)」と極右政党「ルーマニア統一同盟(AUR)」が共同で提出したもので、281票の賛成により可決された。過半数を大きく上回る結果となり、政権への支持が大きく失われていた実態が浮き彫りとなった。与党・国民自由党(PNL)や他の連立パートナーは採決を棄権し、政権を支える結束がすでに崩れていたことも明らかとなった。
今回の政権崩壊の直接的な引き金は、PSDの連立離脱である。同党は財政赤字削減のためにボロジャン政権が進めた増税や歳出削減などの緊縮政策に強く反発し、先月政権から離脱した。その後、AURと連携して不信任案を提出し、政権打倒に至った。
ボロジャン氏はこれらの政策について、「市場の信頼回復に必要な措置だった」と正当性を主張し、不信任案を「政治的で不誠実なもの」と批判した。一方、野党側は生活コストの上昇や経済的負担の増大を招いたとして政権を強く非難していた。
政権崩壊を受けて、ルーマニアは再び政治的空白状態に直面している。ニクソル・ダン(Nicusor Dan)大統領は5日、早期選挙の可能性を否定し、親EU路線を維持する新たな政権の樹立に向けて各党との協議を進める考えを示した。しかし、議会内に明確な多数派は存在せず、連立交渉は難航する見通しである。
また、今回の政変は経済面にも影響を及ぼしている。ルーマニアは欧州連合(EU)内でも最大級の財政赤字を抱えており、改革の遅れはEU資金の受給や通貨の安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。実際、政治不安を背景に通貨レウは対ユーロで下落し、市場の不透明感が高まっていると指摘されている。
さらに、同国では2024年の大統領選をめぐる混乱や景気後退など、複数の問題が重なり、今回の政権崩壊はそうした長期的な不安定要因の延長線上にあるともいえる。
今後は新首相の指名と政権再編が焦点となるが、親EU勢力の内部対立や極右勢力の台頭により、安定した政権の形成は容易ではないとみられる。
