ベビーフードに殺鼠剤混入、39歳男逮捕 オーストリア
事件の発端は4月18日、東部ブルゲンラント州のスーパーマーケットで販売れた瓶入りベビーフードから毒物が検出されたことだった。
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オーストリアで販売されていた乳児用食品に殺鼠剤(さっそざい)が混入されていた事件で、警察は3日、39歳の男を逮捕し、事件の全容解明に向けた捜査を進めていると明らかにした。幼児向け食品を狙った悪質な犯行は欧州各国に波紋を広げており、食品安全への不安が高まっている。
事件の発端は4月18日、東部ブルゲンラント州のスーパーマーケットで販売れた瓶入りベビーフードから毒物が検出されたことだった。問題となったのはドイツのメーカー「ヒップ(HiPP)」が製造した製品で、オーストリア警察は何者かが店頭で意図的に混入した可能性が高いとみて捜査を開始した。
その後の調査で、オーストリアに加えチェコやスロバキアでも同様に毒物入り製品が見つかり、少なくとも5つの瓶が押収された。いずれも消費前に回収されたため、これまでに健康被害は報告されていないが、当局は極めて危険な事案として警戒を強めていた。
オーストリア警察は2日、西部ザルツブルク州で39歳の容疑者を逮捕した。現在も取り調べが続いているが、捜査への影響を考慮し、動機や経緯は明らかにしていない。当局は本件を「公共の安全を脅かす危険行為」と位置づけている。
製造元のヒップ社は声明で、製品は工場出荷時点では「完全な状態だった」と強調し、製造工程に問題はないと説明した。同社は事件を受け、オーストリア国内のスーパーチェーンに納入された同ブランドのベビーフードを自主回収したほか、チェコやスロバキアでも販売停止措置が取られた。
さらに同社は、この事件が恐喝未遂と関連している可能性を明らかにしている。報道によると、容疑者とみられる人物から金銭を要求するメッセージが届き、企業を標的にした計画的な犯行の疑いが浮上している。
問題の製品は生後5カ月向けで、ニンジンとジャガイモを原料とした190グラム入りの瓶詰商品。店頭で殺鼠剤が混入したとみられている。当局は消費者に対し、フタの密閉状態が不自然なものは使用せず、関係機関に通報するよう呼びかけている。
殺鼠剤には血液凝固を妨げる成分が含まれることが多く、摂取すると数日後に出血や倦怠感などの症状が現れる恐れがある。このため、当局は万が一摂取した可能性がある場合、速やかに医療機関を受診するよう注意喚起している。
今回の事件は食品供給網の安全性と店舗での管理体制の脆弱性を浮き彫りにした。特に乳児向け食品という極めて脆弱な消費者層を狙った点で社会的な衝撃は大きく、欧州各国で再発防止策の強化が求められている。警察は引き続き共犯の有無や動機の解明を進めるとともに、流通経路の監視強化を図る方針である。
