◎サウジを含む湾岸諸国とロシアは石油カルテルOPECプラスで密接に結びついている。
2019年11月3日/サウジアラビア、ダーランのカンファレンスセンター前、サウジアラムコのロゴ(Hamad Mohammed/ロイター通信)

エネルギー世界最大手のサウジアラムコは20日、世界経済がコロナウイルスから回復し、原油価格が高騰した結果、2021年の純利益が前年から120%以上増加したと発表した。

一方、サウジアラビアと敵対するイエメンのシーア派武装勢力フーシ派は同日、武装ドローンでアラムコの石油施設を攻撃した。

国営のサウジアラムコは世界で最も価値のある企業のひとつである。同社はフーシ派の攻撃で施設が影響を受けたかどうかは明らかにしていない。

声明によると、アラムコの2021年の純利益は2020年の490億ドルから124%増加し1,100億ドル(約13兆円)に達したという。2019年の純利益は882億ドル(約10.5兆円)だった。

原油価格は世界経済がコロナから回復したことで2020年の安値から反発し、世界的な供給不足を引き起こした。進行中のロシア・ウクライナ戦争は原油価格をさらに押し上げている。

アラムコは2019年12月にサウジ取引所に株式を1.7%上場し、新規株式公開で294億ドルを稼ぎ出した。

アラムコのナセルCEOは声明の中で、「当社の好調な業績は財務規律、進化する市場環境に対応する柔軟性、長期成長戦略が機能した証である」と述べた。「世界経済はかなり改善されたものの、先行きは様々な要因の影響で依然として不透明です...」

またナセルCEOは、これまで以上に安価で持続可能なエネルギーに対する需要を満たすための取り組みを推進すると述べた。「同社は世界中の何十億もの人々のエネルギー安全保障が最も重要であることを認識しています。同社は顧客の要求を満たすために、原油生産能力の増強、ガス拡張計画の実行、液体燃料から化学品を生産する能力の増強に引き続き取り組んでいきます...」

原油生産能力を増強する取り組みは5~8年かけて段階的に行われる予定である。

原油と天然ガスの需要は供給を完全に上回っており、エネルギー価格はここ数カ月高騰し続けている。

サウジアラビアは石油カルテルOPECのリーダー兼世界最大の原油輸出国であり、高騰中の原油価格を抑えることができる唯一無二の存在である。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は石油依存から脱却する取り組みを推進しているが、まだ取り組み半ばである。サウジ政府は今年2月、アラムコの株式の4%を政府系ファンドに移動させた。

この移動は世界最大の原油輸出国サウジの「王冠の宝石」であるアラムコに対するサルマン皇太子の権限をさらに強化したいという意思の表れである。

サルマン皇太子は昨年、アラムコが株式の1%を外国のエネルギー大手に売却する方向で交渉していると明らかにした。

ブレント原油先物は現在、1バレル100ドル以上で取引されており、世界経済を圧迫する一方、アラコムの収益をモリモリ押し上げている。

ロシアは世界最大の天然ガス生産国兼、世界トップクラスの原油生産国のひとつだが、欧米の経済制裁が強化された影響でエネルギー貿易にも何かしらの影響が出ると懸念されている。

サウジを含む湾岸諸国とロシアは石油カルテルOPECプラスで密接に結びついている。西側は湾岸諸国に原油の増産を求めているが、サウジは今のところOPECプラスの協定を遵守すると示唆している。

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