米政府「イスラエルがレバノン南部の一部地域から撤退」主張
イスラエルとレバノンは現在、米国の仲介で南部地域の管理体制を巡る協議を続けている。
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イスラエル軍がレバノン南部の占領地帯から一部撤退したとの米政府高官の発言を巡り、イスラエルとレバノンの両政府が25日、そろってこれを否定した。イスラエル軍の駐留を巡る協議が続く中、現地情勢の認識を巡る食い違いが改めて浮き彫りとなった。
発端となったのは、米国務省高官がロイター通信の取材に対し、「イスラエルはすでに緩衝地帯の一部から部隊を後退させる具体的な措置を取った」と述べたことだ。高官はこの動きがレバノン政府に対する善意の表れで、米国が仲介するイスラエル・レバノン協議の進展につながるとの見方を示した。
しかし、イスラエル政府は25日、部隊の再配置や撤退は行われていないと説明した。レバノン政府の高官も、イスラエル軍が占領地域から撤退した事実は確認できないとして米側の説明を否定した。双方とも現時点で現場の状況に変化はないとの認識を示している。
イスラエルとレバノンは現在、米国の仲介で南部地域の管理体制を巡る協議を続けている。議論の中心となっているのは、イスラエル軍が占領している地域の一部をレバノン軍に段階的に引き渡す「パイロットゾーン」構想だ。構想が実現すれば、レバノン政府による南部統治の回復に向けた第一歩となる可能性がある。
一方で、両国の隔たりは依然として大きい。レバノン政府はイスラエル軍の全面撤退に向けた明確な工程表を求めているのに対し、イスラエルは個別案件ごとの協議を主張している。またイスラエル政府は、親イラン組織ヒズボラの武装解除や南部地域の非軍事化が実現しない限り、本格的な撤退には応じない姿勢を崩していない。
イスラエル軍は現在もレバノン南部に設定した広範な緩衝地帯を維持し、散発的な軍事作戦や空爆も続いている。最近成立した停戦によって戦闘は沈静化したものの、現地では依然として緊張状態が続く。多くの住民が帰還できず、住宅やインフラの損壊も深刻な課題となっている。
米国はイスラエルとレバノンの対話を後押しし、国境地帯の安定化を目指している。しかし、撤退の時期や対象地域を巡る認識の違いに加え、ヒズボラの扱いを巡る対立も残る。今回の「一部撤退」発言を巡る混乱は、停戦後の秩序構築がなお不透明であることを示す形となった。
