◎「絶対に諦めない」と誓っていたオタワの抗議者は、カナダ警察史上最大の取り締まり作戦に降伏し、ほとんどいなくなった。
2月22日、カナダの地方裁判所は首都オタワで発生したコロナ抗議の主催者のひとりの保釈請求を却下した。
連邦政府と州政府のコロナウイルス対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイによる国境封鎖騒動は先週解消し、首都オタワのデモ隊も撤退した。
カナダ放送協会(CBC)によると、オタワ警察は14日に発動された緊急事態法に基づき196人を逮捕したという。また警察はデモに関与した115台の車両を押収した。
オンタリオ州地方裁判所の判事は22日、判決文の中で、「タマラ・リッチ被告は再犯する可能性が高く、保釈は認められない」と述べた。
もうひとりの主要な指導者であるパトリック・キング被告も保釈を請求している。
両被告はオタワの議会議事堂前の通りを麻痺させた団体の代表と伝えられている。トラック運転手たちは通りにトラックを止め、カナダと米国を行き来するトラック運転手に課されたワクチン接種義務の廃止を求めた。
リッチ被告は17日に逮捕され、その後まもなく起訴された。AP通信によると、被告は19日の保釈審問でデモを諦め、アルバータ州に戻ると約束したという。
「絶対に諦めない」と誓っていたオタワの抗議者は、カナダ警察史上最大の取り締まり作戦に降伏し、ほとんどいなくなった。
フリーダム・コンボイはカナダの礼節を揺るがし、フランス、ニュージーランド、オランダの極右を刺激し、国の基幹産業である自動車貿易に打撃を与え、米国の右翼を震え上がらせた。
米国の右派はデモをおおむね支持していたが、デトロイトの自動車産業に影響が出ると態度を一変させた。
米ミネソタ州デトロイトとオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋はほぼ1週間閉鎖され、両州に工場を持つGM、トヨタ、VWなどが生産停止やシフトの変更を余儀なくされた。
トルドー首相は21日の記者会見で、「オタワの住民は何週間も嫌がらせを受け、何十億ドルもの貿易が国境封鎖によって停滞し、人々の雇用が危険にさらされた」と述べた。
CBCによると、リッチ被告は以前、カナダ西部の独立を求める極右政党マーベリック党に所属していたという。
扇動罪などで起訴されたキング被告の保釈審問は数日続くと伝えられている。CBCによると、キング被告は人種差別的な陰謀論をオンラインで広めたことで有名になり、極右団体のリーダーに抜擢されたという。
カナダ議会は連邦政府が発動した緊急事態法を賛成多数で承認している。連邦政府は19日の声明で、フリーダム・コンボイに関連する少なくとも76の銀行口座の320万カナダドル(約2.8億円)を凍結したと発表した。