◎ナワルニー氏は2020年8月に暗殺されかけ、ベルリンで治療を受けたのち、昨年1月に帰国し、逮捕された。
2月15日、ロシアの刑務所内で投獄された野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏に対する裁判が始まった。
ナワルニー氏は2020年8月に暗殺されかけ、ベルリンで治療を受けたのち、昨年1月に帰国し、逮捕された。同氏に塗布された神経ガス「ノヴィチョク」は旧ソ連製と伝えられている。
逮捕後、ナワルニー氏は2014年に言い渡された有罪判決の執行猶予期間中に国外に逃亡した罪で2年半の実刑判決を受け、昨年2月に収監された。
ロシアの国営メディアによると、ナワルニー氏は新たに詐欺罪と法廷侮辱罪で起訴されたという。審理は裁判所ではなく刑務所内で行われる予定で、服役期間が10年以上延長される可能性がある。
国営メディアは14日、「被告は自身の政治団体に寄せられた寄付金のうち3.5億ルーブル(約5.5億円)を横領した容疑と法廷侮辱罪で裁判にかけられる」と報じた。横領は10年以下の懲役が科せられる。
ナワルニー氏はロシア連邦刑務所が公開した映像の中で、「政府は好きなだけ刑期を延長できる」と非難した。「私はどうしたらいいですか?横領?なんの話ですか?」
ナワルニー氏は仮設裁判所の仮設判事に「一個人の運命より、民主主義のために戦っている人々の方が大切だ」と述べ、政府を非難した。
主要メディアによると、ナワルニー氏の妻は非公開審理への参加を要求し、認められたという。
一方、検察官は、「ナワルニー氏と関係者は資金を得るために市民に誤った情報を発信し、寄付を集めた」と述べた。
ナワルニー氏の側近のひとりであるレオニード・ボルコフ氏は15日、フェイスブックで「いつもの秘密裁判」を非難した。「今回の秘密裁判はいつもと少し違うようです。プーチンは流刑地の刑務官にナワルニーを裁くよう命じました」
15日にウラジーミル・プーチン大統領と会談したオラフ・ショルツ独首相は共同記者会見の中で、ナワルニー氏の裁判は法の支配には程遠いと語った。
国際NGOアムネスティ・インターナショナルは14日の声明で、裁判を「刑務官が主催する偽裁判」と呼んだ。「ロシア当局はナワルニー氏を釈放するつもりはないようです」
ナワルニー氏は反腐敗財団を率い、プーチン大統領の統一ロシア党の汚職、過剰接待、黒海に建設された豪華な宮殿をユーチューブで紹介し、広く知られるようになった。プーチン御殿を紹介する動画の再生回数は1億2,000万回を超えている。
ロシア当局は昨年、反腐敗財団やナワルニー氏に関連する政治団体をテロ組織に指定し、活動を禁止した。
ナワルニー氏の活動を支援した関係者少なくとも数十人が刑事責任を問われ、一部は亡命を余儀なくされている。