◎メキシコのアボガド生産者は、1年で最もアボガドが消費されるスーパーボウルの前夜に輸入停止措置が発表されたことに困惑した。
2022年2月13日/カリフォルニア州イングルウッドのSoFiスタジアム、第56回スーパーボウルの優勝トロフィー(Tony Gutierrez/AP通信)

2月13日、米国はメキシコでアボガドの輸入前検査を担当している職員が何者かに脅迫を受けたとして、メキシコ産アボガドの輸入を一時的に停止した。

メキシコのアボガド生産者は、1年で最もアボガドが消費されるスーパーボウルの前夜に輸入停止措置が発表されたことに困惑したと伝えられている。ただし、スーパーボウル中に消費されるアボガドの取引は数週間前に始まっていたため、試合当日の消費に影響はでないと思われる。

AP通信によると、米国の検査官を脅迫したのは、メキシコで唯一米国市場への輸出を許可されている西部ミチョアカン州に拠点を置く麻薬カルテルの可能性が高いという。

メキシコ農務省は13日、「検査官が脅迫を受けた後、米国政府からメキシコ産アボガドの輸入を一時的に停止するという通知を受けた」と明らかにした。

この措置は、メキシコのアボカド生産者・包装業者協会が第56回スーパーボウルに広告を出した後に発表された。アボガド協会はスーパーボウル中のアボガド大量消費を祈念し、10年前から高価な広告料を支払っている。

今年のCMはジュリアス・シーザーとグラディエーターたちがコロッセオと思われる建物の外でアボカドを楽しみ、暴力をなだめる様子が描かれている。

米農務省 動植物衛生検査局の検査官はメキシコから輸入されるアボカドに虫や病気がないことを確認するためにメキシコで検査を行っている。

米国はゾウムシやカサブタなどの害虫の侵入を防ぐためにメキシコ産アボガドの輸入を禁じていたが、1997年に措置を解除した。

ミチョアカン州はハリスコ新生代カルテルと地元ギャングの縄張り争いに悩まされており、同州で最も大きな収益を上げているアボガド業界も何度かその影響を受けている。

ハリスコ新生代カルテルは2009年に誕生した比較的新しい麻薬カルテルだが、数年で国内№2に成長し、№1のシナロアカルテルや他の武装勢力と激しく対立している。

米農務省は2019年に同様の脅迫事件が発生した際、米国の検査官が攻撃や脅迫を受けた場合は厳しい措置を取ると警告していた。

メキシコのメディアによると、ミチョアカン州のアボカド生産者の多くは麻薬カルテルやギャングにショバ代を支払わなければならず、拒否すれば家族を殺すと脅されるという。2020年9月にはメキシコの検査官が殺害されている。

メキシコ政府は麻薬カルテルとの戦いを続けているが、戦争が終結する見通しは全く立っていない。犠牲者数は35万~40万人と推定されている。

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