◎ニカラグア政府は12月9日付けで台湾との外交関係を断つと宣言した。
2018年9月5日/ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領と妻のロサリオ・ムリーリョ副大統領(Alfredo Zuniga/AP通信)

12月9日、ニカラグア政府は台湾との外交関係を断ち、中国にすり寄ると発表した。これで台湾と外交関係を結ぶ国は14カ国になった。

政府は9日の声明で、「ニカラグアは、中国は1つしかないことを宣言する」と述べた。「ニカラグア共和国政府は、中国は世界に1つしかないとここに宣言します。中華人民共和国はすべての中国を代表する唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の領土の一部です...」

政府は9日付けで台湾との外交関係を断つと宣言した。

台湾外務省は10日、直ちにニカラグアの外交部員を呼び戻すと発表し、「悲しみと後悔」を表明した。

中国共産党は台湾を主権国家として認める国に対する圧力を強め、その数は年々減少している。9日時点で外交関係のある国は太平洋のツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、欧州のバチカン、中南米のグアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、アフリカのエスワティニの14カ国。

中国の国営放送CCTVによると、ニカラグア政府は中国北部の都市天津で共産党の高官と協議を行っているという。

ニカラグアは1990年代に台湾と外交関係を結んだ。

先月の総選挙で再選を果たしたダニエル・オルテガ大統領は台湾との緊密な関係を維持してきたが、欧米の主要国から総スカンを食らったことに腹を立て、中国に歩み寄ったとの見方が出ている。

台湾の外交部はツイッターに、「両国に利益をもたらす長年の友情と協力は、オルテガ政府によって無視された」と述べ、「台湾は屈服せず、世界の善のために行動し続ける」と誓った。

オルテガ大統領は1985年から1990年まで政権を握り、2006年の大統領選挙で政界に復帰した。再選後は反米政策を推進し、ロシアと中国に接近したが、経済政策は全く機能せず、アメリカ大陸で最も貧しい国家のひとつから抜け出せずにいる。

オルテガ大統領は今年6月、総選挙に先立ち、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、他の主要な野党指導者20人も合わせて逮捕した。

オルテガ大統領は11月7日の大統領選で票の75%以上を獲得し、再選を決めた。また議会選挙もオルテガ大統領のサンディニスタ戦線(政党)が92議席中90議席を獲得し、圧勝した。しかし、欧米の主要国は選挙結果を速やかに却下し、収監された政治犯の即時釈放と選挙のやり直しを求めた。

オルテガ大統領と妻のロサリオ・ムリーリョ副大統領は11月8日に開催された勝利式典で西側の要求を却下し、EUを「ナチス」、EU加盟国の指導者を「ヒトラーの弟」と呼んだ。「EUはファシスト議会を運営するナチスです。EUを統治しているヒトラーの弟たちはアメリカ大陸をナチ国家に変えるつもりです...」

またオルテガ大統領は、総選挙の結果を不正と見なし、ニカラグアを「独裁国家」と呼んだ米国を激しく罵った。「私が刑務所に送った者たちはヤンキー帝国の子分です。彼らは米国に連行されるべきです。彼らはニカラグア人ではありません...」

民主主義サミットに呼ばれていないニカラグアは11月20日に米州機構(OAS)脱退を表明している。

2021年11月7日/コスタリカに亡命したニカラグア人はダニエル・オルテガ大統領の4期目を阻止するよう訴えた(Javier Cordoba/AP通信)
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