◎連立政権が誕生するまでメルケル首相は引退できない。
2021年9月24日/ドイツ、ミュンヘンで開催されたキリスト教民主同盟の選挙キャンペーン、アンゲラ・メルケル首相とアルミン・ラシェット党首(Getty Images/AFP通信)

9月27日、ドイツの連邦議会選挙は無事終了し、中道左派の社会民主党(SPD)がわずかな差で与党のキリスト教民主同盟(CDU)を破った。しかし、次のリーダーはまだ決まっておらず、引退を心待ちにしているアンゲラ・メルケル首相は厳しい現実に直面した。

現政権の財務相を務めるSPDのオラフ・ショルツ党首はリベラル勢力と連立を形成したいと考えている。しかし、中道右派のCDUを率いるアルミン・ラシェット党首は保守連合を形成すると誓った。

<ドイツ連邦議会選挙 定数730 開票率100%>
・SPD 206議席(25.7%)
・CDU 196議席(24.1%)
・緑の党 118議席(14.8%)
・自由民主党 92議席(10.7%)
・ドイツのための選択肢 83議席(10.3%)
・左翼党 39議席(4.9%)
・その他 1議席
※小選挙区比例代表並立制

連立政権が誕生するまでメルケル首相は政権を維持することになる。ドイツ通信社は連立交渉成立には少なくとも数カ月かかると予想した。

メルケル首相のCDUは2017年の選挙で社会民主党に大差をつけたが、過半数を獲得することはできず、連立交渉は5カ月以上続いた。

ショルツ党首は26日の勝利演説で「SPDにはドイツを率いる義務がある」と述べたが、首相の座を確保するためには緑の党や他の左派と連立を組まなければならない。

一方、ラシェット党首はCDU史上最悪の選挙結果を叩き出したにもかかわらず、「連立を形成し、ドイツを率いる」と誓った。

SPDとCDUは何年も大連立を組み、力を合わせてドイツを欧州最大の経済大国に成長させた。しかし、ショルツ党首は緑の党と中道の自由民主党とタッグを組みたいと考えている。

保守的なラシェット党首は26日の集会で、「自由民主党と緑の党と連立を形成する用意ができている」と語った。しかし、CDUと緑の党の政策には大きな隔たりがあり、保守的な一部の企業団体は懸念を表明した。

ドイツの政治システムは、すべての政党に連立交渉を行う権利を保障している。各政党の指導者たちは党のイデオロギーを超えて協力体制を築けるかどうかを話し合うことになる。

SPDとCDUは極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」を恐らく交渉から除外しており、緑の党と自由民主党に対する激しい求愛バトルを展開すると予想されている。一部の批評家は大連立の可能性も否定できないと主張したが、ショルツ党首とラシェット党首はどちらも首相になることを強く望んでいるため、大連立が実現する可能性は低いと思われる。

一方、連立政権が誕生するまで在任するメルケル首相は以前、引退を楽しみにしていると述べたが、多くの主要メディアがクリスマス休暇は望めないだろうと報じた。

メルケル首相の在任期間が12月17日まで延長されれば、東西ドイツを統一した故ヘルムート・コール元首相の在任期間を抜き、歴代1位に躍り出ることになる。

万一連立が成立しなかった場合、メルケル首相の引退はさらに先延ばしされる可能性がある。ただし、フランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領はCDUとSPDに取引を進めると予想されており、イスラエルのように連続選挙を行う可能性は低いと信じられている。

2021年9月23日/ドイツ、メクレンブルクフォアポンメルン州マーローのマーロウバードパーク、エサやりを満喫するアンゲラ・メルケル首相(ドイツ通信社/ジョージ・ウェント)
アフィリエイト広告
スポンサーリンク