◎アメリカはテキサス州とメキシコの国境付近に集まった移民希望者の処理に苦労しており、先週末から飛行機による強制送還作戦を開始した。
2021年9月22日/ハイチ、首都ポルトープランスの国際空港、アメリカから強制帰国させられた移民希望者たち(ロイター通信)

米主要メディアによると、南部テキサス州からハイチに強制送還された移民希望者たちが空港で大暴れし、負傷者も確認されたという。

首都ポルトープランスの国際空港に到着したハイチ人たちはアメリカ行きの飛行機に大急ぎで戻ろうとしたが、当局者に阻まれたと伝えられている。ある移民希望者は飛行機に靴を投げつけた。

アメリカはテキサス州とメキシコの国境付近に集まった移民希望者の処理に苦労しており、先週末から飛行機による強制送還作戦を開始した。

ABCニュースによると、テキサス州のデルリオとメキシコのシウダードアクニャを結ぶ橋の下には、移民希望者約13,000人が集まったという。

コロンビアとパナマの国境付近でもアメリカを目指す移民希望者が立ち往生しており、関係当局は対応に追われている。

強制送還便でハイチの空港に降り立った人々は当局の指示を無視してアメリカ行きの飛行機に走り、滑走路は大騒ぎになった。ロイター通信によると、飛行機の乗組員は大急ぎでドアを閉めたという。

ソーシャルメディアには飛行機に乗り損ねた移民希望者が私物を奪い合っている写真と動画が複数共有されている。

米国土安全保障省(DHS)は22日の声明で、首都ポルトープランスの空港で2つの事件が確認されたと報告した。NBCニュースによると、強制帰国便のパイロットが空港到着後に暴行を受け、米国入国管理局の当局者3人も負傷したという。

テキサス州ではハイチ人のグループが国境警備隊と衝突し、取り押さえられた。その後、このグループは強制帰国便に乗せられることを悟り、逃亡を試みたと伝えられている。

米国内で活動している人権NGOや団体はバイデン政権の移民希望者排除を厳しく非難した。米国に支部を置くNGO、パートナーズ・イン・ハイチは声明で、「移民希望者たちはハイチに戻りたくないと叫んでいます」と訴えた。「男性、女性、そして子供たちはハイチをもはや故郷とは思っていません...」

DHSによると、テキサス州の国境を越えた約4,000人が国外追放センターまたは他のセンターに移送されたという。

ワシントン・ポスト紙は政府当局者のコメントを引用し、「強制帰国便は1日7便に増便される可能性がある」と報じた。

一方、AP通信によると、ハイチ当局は国外に脱出する人々を取り締まらず、国境を大規模に解放したという。またAPは、「移民希望者たちは60日以内に入国管理局に出頭するよう通知を受けた」と報じた。入国管理局によると、このプロセスは従来の移民取り扱い手続きより強制送還にかかる時間が短いという。

幼い子供を含む移民希望者たちは南部の酷暑に耐えながら入国許可を待っていた。テキサス州と連邦当局は橋の近くに設置されたキャンプの衛生状態を維持することに苦労したと伝えられている。

キャンプに入った約13,000人の大半はハイチ人で、キューバ、ペルー、ベネズエラ、ニカラグアの市民も確認された。

同じく移民処理に苦労しているコロンビア政府は22日、「パナマ政府との協定に基づき、ウラバ湾からパナマに入る移民の数を1日250人に制限した結果、約19,000人が国境近くで立ち往生することになった」と語った。アメリカを目指す移民希望者たちはハイチから船でコロンビアに渡り、ウラバ湾を超えたパナマに入るつもりだった。

コロンビア政府は、「多くの移民希望者が夜に標準以下のボートで湾を渡ろうと試みており、命を危険にさらしている」と警告した。

2010年1月に首都ポルトープランスで発生したM7.0の地震はハイチを荒廃させ、多くのハイチ人がブラジルや他の南米諸国への移住を試みた。しかし、移民の多くは仕事や法的地位を確保できず、アメリカを目指した。

南米で最も貧しいハイチの経済はコロナウイルスの影響で疲弊し、さらに7月の大統領暗殺事件と8月14日の大地震は混乱に拍車をかけた。

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