◎噴火した火山はラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山。
2021年9月19日/スペイン、カナリア諸島のラ・パルマ島南部のクンブレ・ビエハ山(ジョナサン・ロドリゲス/AP通信)

9月19日、北西アフリカの沖に位置するスペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島で火山が噴火し、少なくとも5,000人が避難を余儀なくされた。

カナリア諸島火山学研究所は声明で、19日の午後3時過ぎに最初の噴火を確認したと述べた。

噴火した火山はラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山で、最後に噴火を観測したのは約50年前。ラ・パルマ島の人口は約85,000人。

現地メディアによると、溶岩はクンブレ・ビエハ山の尾根に沿って流れ、山火事を引き起こしたという。クンブレ・ビエハ山周辺ではここ1週間地震活動が続いていたため、科学者たちは島民に警戒を呼び掛けていた。

カナリア諸島のアンヘル・ビクトル・トーレス大統領は19日、「午後11時までに火口周辺の住民約5,000人が避難を終えた」と述べた。当局によると、避難者の大半は親戚や友人宅に避難し、一部は政府の避難所に入ったという。

火山学研究所は、噴火の前にM4.2の地震を観測したと報告した。最初の噴火からしばらくすると、山の斜面に新たな火口(亀裂)が出現し、溶岩が流れ出した。

最初の噴火で放出された溶岩は火山の麓の村エル・パソに接近した。セルヒオ・ロドリゲス市長は記者団に対し、「住民約300人が避難し、村と周辺地域に続く道路は閉鎖されたと」述べた。

当局者によると、溶岩は少なくとも民家8軒とその他の施設を破壊したという。ロドリゲス市長は、「溶岩流はエルパライソとアルカラを含むその他の地方自治体にも影響を与える可能性がある」と警告した。

ラ・パルマ島のマリアーノ・エルナンデス州首相は声明で、死傷者の報告は受けていないと述べ、「噴火が引き起こした混乱は人口密集地域に影響を与えている」と警告した。「溶岩を見に行かないでください。あちこちで渋滞が発生しています。野次馬渋滞は避難活動だけでなく、あなたの命を危険にさらすでしょう」

スペイン国立地質研究所のイタヒザ・ドミンゲス地震学部長は地元メディアの取材に対し、「クンブレ・ビエハ山の噴火がどのくらい続くかは分からないが、以前の噴火は数週間続いた」と述べた。

約50年前に発生した最後の噴火は3週間以上続いたと伝えられている。なお、カナリア諸島における最も直近の噴火は2011年にエルイエロ島の沖合で発生した水中火山の噴火。この火山の活動は約5か月続いた。

スペインのペドロ・サンチェス首相はニューヨークの国連総会に出席する予定だったが、急遽予定を変更してカナリア諸島に飛び、トーレス大統領と会談した。

サンチェス首相は19日、「最優先事項は住民の命であり、スペイン政府はラ・パルマ島に必要な支援を速やかに提供する」と約束した。「スペインは当局と住民が必要としているものを提供します」

国立地質研究所によると、クンブレ・ビエハ山の周辺ではここ1週間に22,000回以上の揺れを観測していたという。

2021年9月19日/スペイン、カナリア諸島のラ・パルマ島南部のクンブレ・ビエハ山(ジョナサン・ロドリゲス/AP通信)
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