◎ビットコインの価格は株や債券のように大きく変動する。
2021年2月9日/暗号通貨ビットコイン専用のATM(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

エルサルバドル政府は9月7日に暗号通貨のビットコインを法定通貨に正式採用する予定だが、国民の大多数は不安を隠しきれず、困惑している。

ビットコインの価格は株や債券のように大きく変動する。

議会で単独過半数を占めるナジブ・ブケレ大統領の新アイデア党は6月、ビットコインを法定通貨に採用する画期的な「ビットコイン法案」を可決した。

しかし、最新の世論調査によると、国民の大多数はビットコインの採用に懐疑的な目を向けていることが分かったという。世界銀行は6月、エルサルバドル政府のビットコイン実装に向けた支援要請を却下した

9月7日以降、エルサルバドルの企業や個人事業主はもうひとつの公式通貨である米ドルと同じようにビットコインでの支払いを受け入れることが義務化される。

現地メディアによると、米ドルをビットコインに両替する専用のATMが全国に少なくとも200台以上設置されたという。

政府はビットコインの使用を促すために、口座を開設した個人に30ドル分のビットコインをプレゼントしている。

しかし、6月の法案可決以来、首都サンサルバドルを含む都市部ではビットコインの法定通貨採用に抗議するデモが継続的に開催されている。

中央アメリカ大学が行った最新の調査によると、ビットコインを含む暗号通貨を理解している人は回答者(1,281人)の4.8%に過ぎなかったという。また、回答者の68%がビットコインの実装に同意せず、調査に協力した中小企業の82%がビットコインでの取引を望んでいないと回答した。

エルサルバドルの経済はGDPの約20%を占める国外からの送金に大きく依存している。記録によると、国外で生活する200万人以上のエルサルバドル人は毎年自国に多くの現金を送っており、総額は年間40億ドル(4,500億円)以上にのぼるという。

ビットコインを使えば、国外から自宅への送金は間違いなく容易になる。

しかし、多くの専門家がビットコインのリスクに懸念を表明した。

暗号通貨の専門家であるイギリスのグレン・グッドマン氏はBBCニュースのインタビューの中で、「暗号通貨の交換コストは高くなる可能性がある」と警告した。

マーケット・ドットコムのチーフマーケットアナリストであるニール・ウィルソン氏も、中米地域で最も貧しい国のひとつであるエルサルバドルの国民の大多数は、ビットコインの恩恵を受けない可能性が高いと警告した。「ビットコインは小さな取引に向いていません。利用者は無駄な手数料を支払うことになるでしょう...」

ビットコインの価格はテスラのイーロン・マスクCEOが受け入れ拒否を表明した5月に急落した。しかし、価格はその後回復し、8月下旬には3カ月ぶりに1ビットコイン50,000ドル(約550万円)を上回った。

ウィルソン氏は今年公表したレポートの中で、「ビットコインは株や債券と同じであり、取引には注意が必要」と述べた。「ビットコインの購入者はそれを使うのではなく、投資のために購入しています。価格が上がれば上出来、下がれば頭を抱えることになるでしょう...」

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