◎ジャスティン・トルドー首相は15日に議会の早期解散をメアリー・サイモン総督に求め、その後の記者会見で9月20日に総選挙を行うと発表した。
2021年8月27日/カナダ、オンタリオ州ボルトン、抗議者と支持者に手を振るジャスティン・トルドー首相(ロイター通信)

8月27日、カナダのジャスティン・トルドー首相は9月20日に予定されている総選挙(連邦選挙)の集会をオンタリオ州で行う予定だったが、抗議者の待ち伏せ攻撃に直面し、中止を余儀なくされた。

当局は声明で、トルドー首相はオンタリオ州ボルトンの会場で演説する予定だったが、セキュリティの懸念を考慮し中止を決めたと述べた。

現地メディアによると、数十人で構成される抗議団体がトルドー首相の乗るバスに駆け寄り、罵声を浴びせたという。

トルドー首相は15日に議会の早期解散をメアリー・サイモン総督に求め、その後の記者会見で9月20日に総選挙を行うと発表した。現政権の任期は2023年10月だった。

トルドー首相のカナダ自由党は2019年の総選挙で過半数を失い、法案の可決には反対派の支持が必要不可欠になった。

<2019年のカナダ連邦選挙:定数338>
カナダ自由党 157議席(中道~中道左派)
カナダ保守党 121議席(保守)
ブロック・ケベコワ 32議席(中道左派)
新民主党 24議席(中道左派)
緑の党 3議席

カナダのコロナワクチン展開は大成功を収めており、少なくとも1回接種した人は8月21日時点で人口の72%以上、接種を終えた人は65%を超えた。トルドー首相はこの勢いを利用して議会の過半数を確保したいと目論んでいる。

しかし、一部の抗議者はトルドー政権のコロナ政策と規則に反対しており、各地で選挙活動の妨害を試みている。

ロイター通信によると、27日の集会は開始予定時刻から2時間後に中止が決まり、トルドー首相の乗るバスは警察に護送されながら撤退したという。

抗議に参加した女性は地元メディアの取材に対し、「コロナウイルスはカナダ国民の生活を台無しにした」と叫んだ。「国民は政府の政策にウンザリしています...」

トルドー首相は集会の中止が決まった直後に声明を発表し、「抗議者の怒りを理解している」と述べた。「誰もが大変な1年を過ごしました。私たちは抗議に参加した人の怒り、欲求不満、恐れを知っています...」

トルドー首相はイベントの一環としてオンタリオ州ノーブルトンのパン屋を訪問する予定だったが、これも抗議団体に阻止された。ある抗議者はパン屋の前で「トルドー反逆罪」と書かれた看板を掲げた。

25日にブリティッシュコロンビア州で開催された集会に突撃したある抗議者は、「ワクチンを拒否する!」と叫び、警備員に取り囲まれたと伝えられている。

トルドー首相は総選挙に先立ち、「新政府(カナダ自由党)は10月末までに官僚、輸送業務に従事する労働者、およびカナダ全土の航空および鉄道旅行者にコロナワクチン接種を義務付ける」と発表した。

一方、野党保守党のエリン・オウトゥール党首はワクチンの義務化ではなく検査体制の強化を訴えている。オウトゥール議員は先日、「トルドー首相はコロナウイルスを政治に利用し、ワクチン義務化政策で国家の分裂を促している」と批判した。

カナダ自由党はワクチン義務化政策の詳細をほとんど明らかにしていないが、中道左派の新民主党はこの政策を支持し、「10月末ではなく来月中の義務化」を訴え、接種を拒否した者は解雇を含む懲戒処分にすべきと主張している。

2021年7月26日/カナダ、オンタリオ州オタワ、ジャスティン・トルドー首相とメアリー・サイモン総督(ポール・チアソン/AP通信)
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