◎国連は先月、ティグライ地域の住民推定180万人が深刻な食糧不足に直面し、40万人以上が餓死しかけていると報告していた。
8月19日、国連のアントニオ・グテーレス事務総長はエチオピアの北部ティグライ地域で進行中の紛争が引き起こした人道的危機を「地獄」と呼んだ。
ティグライ地域を支配していたティグレ人民解放戦線(TPLF)は昨年11月に勃発した国軍との戦闘に一度敗れたが、その後、他の反政府勢力とティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月に地域の支配権を取り戻した。
グテーレス事務総長は記者団に対し、「戦闘の拡大は恐怖を拡散し、多くの人々を罠にかけた」と語った。ティグライ紛争に関与した国軍、TPLF、そしてエリトリア軍は国際社会から厳しく非難されているが、終結する見通しは立っていない。
紛争に巻き込まれて死亡した民間人は数千人と推定されているが、紛争地に立ち入ることは禁じられており、正確な死亡者数は誰にも分からない。人道支援団体によると、ティグライの住民推定200万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンの難民キャンプに逃亡したという。
国連は先月、ティグライの住民推定180万人が深刻な食糧不足に直面し、40万人以上が餓死しかけていると報告していた。
グテーレス事務総長は19日にエチオピアのアビィ・アハメド首相と会談したことを明らかにした。「アビィ首相は事態の改善に向けた取り組みを進めていると言いましたが、現地の状況を見極める必要があると思っています...」
2019年にノーベル平和賞を受賞したアビィ首相は以前、ティグライの住民約600万人への人道的アクセスを保障すると約束したが、物資を移送するルートはほぼ閉ざされている。
国連が19日に公表したティグライに関する最新の報告書によると、住民のニーズを満たすためには、毎日トラック100台で物資(うち90台は食糧)を運び込む必要があるという。
しかし、7月12日から8月15日の間に物資を運び込んだトラックはわずか316台にとどまり、地域内で活動する複数の人道支援団体は燃料、医療用品、その他の物資、そして食料がないと主張した。
エチオピア、ティグライ地域
国連とアメリカはエチオピア政府によるティグライの封鎖を「包囲」と呼んでおり、人道支援団体は道の途中に設置された検問所で厳しい取り締まりに直面している。アビィ首相はティグレ人民解放戦線(TPLF)とティグライ国防軍(TDF)をテロ組織に指定しており、ティグライ地域への援助をテロリストへの援助と見なしている。
TDFはティグライ地域に接するアムハラ州とアファール州への攻撃を強化し、両州の住民数万から数十万人が地域外に避難したと伝えられている。
グテーレス事務総長は即時停戦、対話による問題の解決、人道的アクセスの解放、基本的なサービスの再開を強く求めた。ティグライの電話、インターネット、銀行サービスは完全に遮断されており、人道支援団体の活動に大きな影響を与えている。
グテーレス事務総長は紛争の当事者との協議を試みていると述べ、アフリカ連合(AU)委員会のムーサ・ファキ・マハマト議長とは「何をする必要があるかを目で見て確認した」と述べた。
エチオピアの首都アジス・アベバに本部を置くAUは、ティグライ紛争への関与を避けていると国際社会から非難されていた。
アビィ首相の報道官、ビリーン・セユム氏はグテーレス事務総長が述べたエチオピアのコミットメントに関する質問を却下した。
アビィ首相は今週、エチオピアを訪問中の米国特使ジェフリー・フェルトマン氏とは会談せず、トルコ政府との軍事協力式典に出席し、協定書に署名した。