◎金正恩 党総書記は来月予定されている米韓合同軍事演習に先立ち、外国の挑発に対処するために、より強力な軍事能力を確立するよう当局に命じた。
北朝鮮の国営メディアによると、金正恩 党総書記は来月予定されている米韓合同軍事演習に先立ち、外国の挑発に対処するために、軍事能力の強化に向け努力するよう当局に命じたという。
北朝鮮は今週、朝鮮戦争休戦68周年に合わせて韓国との南北通信連絡線を再開し、南北の関係改善への期待を高めた。しかし、一部の専門家は、「金正恩の政策が変わる可能性は低く、過去数年間と同じようにミサイルテストを突然実施したり、核開発を加速させると発言することで西側諸国との緊張を高めるだろう」と指摘した。
朝鮮中央通信社は、「金正恩 党総書記は7月24日から27日にかけて、軍事力の強化方法を議論する軍司令官および将校とのワークショップ形式の会議を主催した」と報じた。同社によると、軍会議をワークショップ形式で行ったのは初めてだという。
金正恩は会議の中で「司令官と将校は、敵の軍事的挑発に積極的かつ攻撃的に対処するための準備に全力を注ぐべきである」と強調し、「敵対勢力は先制攻撃能力を強化するための戦争訓練を行っている」と非難した。
ただし、朝鮮中央通信社によると、金正恩は会議の参加者に部隊の戦闘能力を高めるためにより大きな努力をするよう命じたが、アメリカと韓国には直接言及せず、核開発に関する発言もなかったという。
アメリカと韓国は北朝鮮との核関連交渉を再開するために定期軍事演習の一部をキャンセルしているが、2019年に破綻した関係を修復できる見通しは立っていない。
韓国国防省のブー・スンチャン報道官は、来月の軍事演習を中止または縮小する可能性について記者に尋ねられ、「アメリカと韓国はコロナウイルスの感染状況や北朝鮮の非核化を達成するための外交努力などの要因を検討している」と語り、北朝鮮との関係改善を見込めるようであれば軍事演習の中止もしくは延期もあり得ると示唆した。
一部の専門家は、本格的に米韓合同軍事演習を再開すれば、金正恩はいつものようにミサイルを試射する可能性があると指摘した。
北朝鮮に核開発計画の放棄を求めるアメリカ主導の外交努力は、北朝鮮に対する厳しい経済制裁の影響で約2年半停滞している。経済制裁の解除もしくは緩和を目論む金正恩は、アメリカが「敵対政策」を撤回しない場合、核兵器を増強すると脅迫した。
ジョー・バイデン大統領は北朝鮮との交渉再開を望んでいるが、北朝鮮が核を放棄すると誓約しない限り、経済制裁の緩和に向けた交渉は始まらないと述べている。