◎イスラエルとハマスは5月21日の停戦協定発効以来、戦闘を控えていた。
2021年6月16日/イスラエル軍はパレスチナのガザ地区にあるハマスの軍事施設を空爆した(Getty Images/AFP通信)

現地メディアによると、イスラエル軍は6月16日の未明にガザ地区を支配するハマスに対する空爆を決行したと述べたという。

AFP通信は、「複数の爆発音が聞こえた後、炎が上がった」と報じた。

イスラエル軍は15日、火災を引き起こすように設計された気球がガザ地区から放たれ、国内の一部施設で火災が発生したと発表していた。

イスラエルとハマスは5月21日の停戦協定発効以来、戦闘を控えていた。

イスラエル軍は16日の声明の中で、戦闘機はガザ地区にあるハマスの軍事施設を空爆したと述べ、「イスラエルに対するテロ活動が実行されたため、敵対行為の再開を含む全てのシナリオに備えている」と付け加えた。

AFP通信などによると、空爆で負傷した人がいるかどうかは明らかにされていないという。

イスラエルの消防署は15日、ガザ地区から放たれた気球はイスラエル南部のコミュニティの畑などに墜落し、少なくとも20カ所で火災が発生したと述べた。現地メディアによると、炎はおおむね消し止められたという。

ハマスは以前、イスラエルの超国家主義者による東エルサレムの行進が実行されれば、行動を起こすと警告していた。

現地メディアによると、イスラエル軍は行進に先立ち、アイアンドームミサイル防衛システムを再配備したうえで、ハマスの新たな攻撃に対する警戒を強めていたという。ただし、気球がハマスの攻撃かどうかは現時点では明らかにされていない。

2021年6月15日/イスラエル、エルサレムの旧市街の外にあるダマスカス門近く(AP通信/Mahmoud Illean)

イスラエルの超国家主義者たちは、予定通り東エルサレムの通りを練り歩き、一部の極右は「アラブ人に死を!」と唱えながら国旗を振り回した。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

ハマスは4月、ユダヤ人による東エルサレムの行進や挑発を却下し、パレスチナ人に抵抗するよう呼びかけ、11日間の紛争が始まった。

ユダヤの極右主義者たちはダマスカス門の前に移動し、踊り、叫び、歌い、国旗を振り回し、ある時点で「アラブ人に死を!」「アラブの村が燃えますように」と大声で唱え始めた。

ヤイル・ラピッド外相は一部の極右による合唱を厳しく非難し、「イスラエルの恥」と述べた。「憎悪と人種差別を促す過激派はイスラエルの国旗を掲げるべきではありません。彼らはイスラエルの恥です。人種差別とヘイトは決して許されません...」

強硬派の国家主義者であるナフタリ・ベネット新首相は就任早々大きな問題に直面した。

現地メディアは、「15日の行進は緊張を高めると懸念されていたが、政府が中止を命じれば、ベネット首相と他の連立右翼メンバーはハマスに降伏したと激しく非難されていただろう」と報じた。

連立政権に参加したアラブ派閥ラーム党の党首、マンスール・アッバス議員は行進について、「一部の極右は新政府を弱体化させ、地域に火をつけようとしている」と指摘した。

アッバス議員は記者団に対し、「警察と公安当局は行進をキャンセルすべきだった」と述べた。「私は新たな紛争を引き起こそうとする極右の陰謀に巻き込まれないよう、双方に自制を呼びかけます」

ハマスは整地エルサレムを守るという名目でイスラエルに長距離ロケットを発射し、4月の行進を妨害し、ガザ紛争を引き起こした。紛争によるパレスチナ人の死者は250人以上、イスラエルでは13人が死亡した。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

2021年6月15日/パレスチナ、ガザ地区の通り、イスラエルの超国家主義者による行進に抗議するパレスチナ人(AP通信/Adel Hana)

イスラエル・ガザ紛争のタイムライン

・4月13日:イスラエル警察とパレスチナ人が東エルサレムで衝突。パレスチナ人はイスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げる予定だった。

・4月15日:ハマスがイスラエルに向けてロケットを発射。

・4月19日:イスラエルの港湾都市ヤッファでアラブ人とユダヤ人が衝突。

・4月20日:ユダヤ人のギャングが、TikTokで共有された正統派ユダヤ人に対する偏見に腹を立て、アラブ人への攻撃を呼びかける。その後、ギャングとアラブ人は小競り合いを演じた。

・4月23日:保守的な数百人のユダヤ人が「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行う。アラブ人は激しく反発し、衝突に発展した。

・4月24日:ガザ地区からロケットが発射される。イスラエル軍は空爆で応戦した。

・5月2日:ハマスがアラブ人に「人間の盾」を形成するよう呼びかける。

・5月4日:ガザ地区のイスラム過激派組織がイスラエルで焼夷弾攻撃を決行。各地で火災が発生した。

・5月7日:ヨルダン川西岸でイスラエル警察とパレスチナ人が衝突。パレスチナ人2人が射殺され、1人が負傷した。

・5月8日:東エルサレム周辺でイスラエル警察とアラブ人が衝突

・5月10日:アラブ人がイスラエル警察に対する投石攻撃を本格化させる。この日の衝突でアラブ人300人以上が負傷した。

・5月10日:ハマスがイスラエル南部へのロケット攻撃を開始。ネタニヤフ首相は声明で、「敵はレッドラインを越えた」と述べ、空爆開始を宣言した。

・5月21日:停戦協定発効。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

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