◎国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明で、「深刻な懸念を抱いている」と述べた。「国連は双方の攻撃がエスカレートし、本格的な戦争に発展することを恐れています」
5月12日、イスラエル軍とパレスチナのガザ地区を支配するイスラム過激派組織ハマスの戦闘は激しさを増し、少なくともパレスチナ人53人とイスラエル人7人が死亡した。パレスチナ人の死亡者の中には14人の子供が含まれている。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明で、「深刻な懸念を抱いている」と述べた。「国連は双方の攻撃がエスカレートし、本格的な戦争に発展することを恐れています」
イスラエル軍は首都テルアビブとエルサレムを含む主要都市に1,000発以上のロケット弾が撃ち込まれたと主張し、ガザ地区を激しく空爆した。現地メディアによると、空爆で3つのビルが崩壊し、ハマスの高官の死亡も確認されたという。
米アントニー・ブリンケン国務長官はベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談の中でハマスの攻撃を非難したが、「イスラエル軍は民間人への攻撃を避ける義務がある」と述べた。アメリカはハディ・アムル国務次官補を現地に派遣した。
今回の戦闘は、東エルサレムの聖なる丘の上に建設された施設でイスラエル警察とパレスチナ人の衝突が激化したことで引き起こされた。
アル・ハラム・アル・シャリフ（高貴な聖域）と呼ばれるエリアは、イスラム教とユダヤ教の聖地として大切にされている。イスラエル警察は先月、ラマダンの始まりに合わせてこの地を訪れたパレスチナ人を排除し、その後衝突した。
イスラエルの保守的な民族主義者は先日、東エルサレム（旧市街と聖地の本拠地）を取り戻した日を例年以上に盛大に祝ったが、多くのパレスチナ人はこれを挑発と見なし、激怒した。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区（東エルサレム含む）、およびゴラン高原を占領した。以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。
ユダヤ人とアラブ人が生活するイスラエルの各都市では混乱と不安が広がり、数百人が逮捕された。首都テルアビブは非常事態宣言下に置かれている。
ネタニヤフ首相はイスラエルを外側の敵と内側の暴力から守るために全力を尽くすと述べた。
一方、パレスチナ自治政府はツイッターでイスラエルの「軍事侵略」を非難し、「困窮している市民数百万人を傷つけた」と述べた。
イスラエルの空爆はガザ地区のアパート、ビル、ハマスの警備施設を爆破し、民間人を巻き込んだ。
イスラエル軍はハマスや他のイスラムジハード組織が発射したと思われる数百発のロケット弾をアイアンドームミサイル防衛システムで迎え撃ったが、すべてを迎撃することはできず、首都テルアビブや他の都市に着弾した。
パレスチナの保健省によると、ガザ地区の死亡者は14人の子供と3人の女性を含む53人に増加し、子供86人、女性39人を含む少なくとも320人が負傷したという。
イスラエルでは兵士1人と民間人6人が死亡した。民間人の犠牲者のひとりは6歳の子供だった。
双方は後退する意思を見せておらず、ネタニヤフ首相は攻撃を強化すると誓い、ハマスは本格的な蜂起（インティファーダ）を求めている。最後の蜂起は2000年に始まり、5年以上続いた。
ハマスはロイター通信が報じた声明の中で、「ガザ地区の指揮官と戦士の死を確認した」と述べた。「何千もの指揮官と戦士がユダヤ人の足跡をたどるだろう...敵は民間人が暮らしているアパートを狙った」
現地メディアによると、住民は空爆前に対象の建物から避難するよう警告を受けていたが、当局者は限られた時間と混乱の中で住民全員を避難させることは難しく、多くが爆発に巻き込まれ死亡したと述べた。
AFP通信によると、11日の空爆で子供2人を含む5人家族が死亡したという。
ガザ地区に住む11歳の少年はセーブ・ザ・チルドレンのインタビューの中で、人生最悪の夜だったと語った。「恐怖でお腹が痛く、頭がクラクラしました。爆発で目の前の建物がバラバラになりました。私は何も祝いたくありません....」
イスラエル軍は12日、今回の空爆は2014年のガザ戦争以来最大規模だったと述べた。
今回の戦闘がネタニヤフ首相の政治的未来にどのように影響するかは不明。ネタニヤフ首相は3月の議会選挙で勝利を収めたが、連立政権の結成には失敗した。現在、反対派の野党勢力は連立政権の結成を試みている。
専門家は、「連立の結成は戦闘が長引くほど難しくなる可能性が高い」と指摘した。ネタニヤフ首相が再選挙を決断した場合、ガザ地区に対する今回の空爆と攻撃は与党を後押しする可能性がある。
ロシアの外務省は12日の声明で、「ハマスはイスラエルが東エルサレムで発生した暴力とアラブの先住民に対する違法な措置を停止すれば、停戦に応じる準備ができている」と述べた。
