◎アフガニスタンの駐留米軍は5月1日、暴力が激化しているにもかかわらず撤退任務を正式に開始した。
米CNNニュースによると、ヒラリー・クリントン元国務長官は米軍のアフガニスタン撤退がもたらす重大な結果に強い懸念を示したという。
クリントン氏はCNNのインタビューの中で、「タリバンがアフガニスタンの支配権を取り戻す可能性がある」と警告した。
アメリカは先日、2001年の同時多発テロから20年を迎える今年の9月11日までに米軍をアフガニスタンから撤退させる任務を開始した。しかし、タリバンはアフガン政府への攻勢を強めている。
同時多発テロに対するアメリカのイラク侵略戦争により、イラクのサダム・フセイン政権は陥落した。しかし、ウサーマ・ビン・ラーディン率いるアルカイダおよびタリバンを含む他のイスラムジハード組織はアフガニスタンなどに避難し、今も活動を続けている。
クリントン氏はCNNに対し、「アフガニスタンの占領と撤退はアメリカを悩ませてきました」と語った。「滞在と撤退には予見できることとできないことがあります」
クリントン氏はジョー・バイデン大統領と同じく、2001年の同時多発テロ後、アフガニスタンへの介入を強く支持した。
現在、アフガニスタンには推定9,600人のNATO軍が駐留しており、そのうち推定2,500~3,500人は米軍の兵士や関係者で構成されている。
バイデン大統領は先日の演説で、「アフガニスタンは西側諸国に戦争を仕掛けるジハード主義者の基地ではなくなった」と保証したうえで、米軍とNATO軍撤退後もアフガニスタンの平和は維持されると約束した
クリントン氏はCNNに、「アメリカは2つの大きな問題に焦点を当てなければならない」と述べた。「撤退後、タリバンを含むジハード組織が活動を本格化させる可能性があります。私たちはそれを監視し、アフガニスタンの市民および難民を保護するアフガン政府を支援しなければなりません」
クリントン氏はタリバンの侵攻が脆弱なアフガン政府を追い詰め、新たな内戦が始まる可能性があると警告した。「アメリカはNATOと協力して行ってきたアフガニスタンの市民と難民を保護するプログラムを強化すべきです。難民を養う大規模なビザプログラムを設定すべきでしょう...」
アフガニスタンの駐留米軍は5月1日、暴力が激化しているにもかかわらず撤退任務を正式に開始した。
アフガン政府と治安部隊はタリバンを含むジハード組織の攻撃を警戒している。
現地メディアは5月3日、タリバンの戦闘員がファラー州南西部の前哨基地を攻撃し、少なくとも兵士7人が死亡したと報じた。アフガンの治安当局によると、タリバンは付近の民家から約400mのトンネルを掘って前哨基地に接近し、爆破攻撃を仕掛けたという。
アントニー・ブリンケン国務長官は3日の記者会見で、「バイデン政権は安全かつ秩序ある撤退に焦点を合わせているが、アフガン政府への支援は継続する」と強調した。
バイデン大統領は先日の演説で、アメリカは引き続きアフガン政府を支援し、タリバンとの和平に向けた交渉を奨励すると述べた。しかし、多くの専門家が支援と交渉だけではアフガニスタンの治安は維持できない可能性が高いと指摘している。
タリバンとの歴史的な和平合意に署名したトランプ前大統領は昨年、米軍の帰還を熱望したうえでアフガンへの介入と一連の戦争を批判し、2021年5月1日までに米軍を撤退させると発表した。しかし、タリバンは和平合意に盛り込まれたアフガン政府との継続的な和平交渉を拒否し、攻勢を強めている。
<米軍のアフガン介入の要点>
・2001年10月:介入。
・2009年2月:追加部隊17,000人を派遣。
・2009年12月:追加部隊30,000人を派遣。
・2014年10月:米軍と英軍が戦闘作戦を終了。
・2015年3月:アフガンのアシュラフ・ガニー大統領の要請を受け、撤退を延期。
・2017年8月:トランプ前大統領、タリバンと戦うために部隊を追加派遣。
・2019年9月:アメリカとタリバンの和平交渉が破綻。
・2020年2月:アメリカとタリバンが和平合意に署名。