◎会談後、ロシアの在ウィーン常駐代表のミハイル・ウリヤノフ氏はツイッターに、「イラン核合意のメンバーは、合意の回復に向けたウィーン会談で成果を上げた」と投稿した。
2021年5月1日/オーストリア、首都ウィーン、国際原子力機関(IAEA)との交渉を担当するイランのカゼム・ガリブ・アバディ氏(AP通信/Lisa Leutner)

5月1日、アメリカのイラン核合意復帰に焦点を当てた交渉に出席した中国、イギリス、フランス、ロシア、ドイツ、そしてイランの外交官は、「一定の進展は見られたが、合意の再開にはより多くの作業と時間が必要」と述べた。

会談後、ロシアの在ウィーン常駐代表のミハイル・ウリヤノフ氏はツイッターに、「包括的共同行動計画(JCPOA)のメンバーは、核合意の回復に向けたウィーン会談で成果を上げた」と投稿した。

P5プラス1(安保理常任理事国の米、中、露、英、仏+独)は2015年に包括的共同行動計画、通称イラン核合意に署名し、イランの核開発に制限を設けた。しかし、アメリカは2018年に合意から撤退し、イランの経済の生命線である原油取引の禁止に踏みきったため、イランは強く反発し、核開発を加速させた。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止しているが、イランは先日、濃縮度を60%まで引き上げた。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

ウリヤノフ氏は、「ウィーン会談は来週の終わりに再び招集されます」と述べた。「出席者たちは新たな合意の起草作業を継続します。成果を強調するのは時期尚早ですが、私は楽観的に考えています。私たちは3週間以内の協議完了を目指しています」

しかし、イギリス、フランス、ドイツの反応はウリヤノフ氏ほど楽観的ではなかった。「私たちには多くの仕事が残されていますが、時間はほとんどありません。今週の会談でより踏み込んだ協議を行えると期待していました」

「私たちは最も重要な問題で合意に至っていません。ただし、成功は保証されていませんが、不可能ではないと信じています」

米国務省のネッド・プライス報道官は1日の声明で、「何らかの動きはあったと報告を受けたが、合意には至っておらず、アメリカの評価は依然と変わらない」と述べた。

2021年5月1日/オーストリア、首都ウィーン、ロシアのミハイル・ウリヤノフ在ウィーン常駐代表(AP通信/Lisa Leutner)

今週の会談にはイランのアッバース・アラーチ副外相も参加していた。

アラーチ副外相は国営テレビのインタビューの中で、「論争の的になっている案件と合意に至った問題の両方で、関係国は成果を上げました」と述べた。「合意に達する日を正確に予測することはできませんが、私たちは確実に前進しています」

米主要メディアによると、バイデン政権はイランに対する厳しい制裁措置のいくつかの解除もしくは緩和を検討している可能性があるという。

ロシアのウリヤノフ氏は、「JCPOAのメンバーはアメリカの代表団と面会したが、イランの代表団は会う準備ができていなかった」と述べた。

トランプ前大統領はイランが核合意を順守せず核開発を進めていると主張し、合意から撤退した。核合意の最終的な目標はイランの核爆弾製造を防ぐことだが、イランはウランの濃縮度を引き上げ続けている。

ウィーンの会談は4月初旬に始まり、出席者たちはアメリカの経済制裁とイランのコンプライアンスに関する問題を解決する方法について話し合ってきた。

しかし、出席者たちは最近発生した別の問題にも取り組まなければならなくなった。

イランのナタンツ核施設は先月、イスラエルの諜報機関モサドの犯行と信じられている攻撃で損傷し、大きな被害を受けたと伝えられている。イランはイスラエルへの復讐を誓ったうえで、ウラン濃縮を60%まで引き上げた。

一方、イスラエル政府はナタンツ核施設に関する声明を発表していない。

2021年4月7日/イラン中部ナタンツ核施設の衛星写真(AP通信/Planet Labs Inc.)
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